Logo

LivRoot税理士法人 > 税務・会計・財務の学習記事 > 未分類 > 個人事業税とは?個人事業税の対象業種と具体的な計算例をわかりやすく解説

個人事業税とは?個人事業税の対象業種と具体的な計算例をわかりやすく解説

投稿日: 2025年5月6日 | カテゴリ: 未分類

個人事業税は、個人事業主が事業から得た所得に対して課される地方税です。この記事では、個人事業税の基本的な仕組みから具体的な計算方法まで、実例を交えて徹底解説します。飲食店、不動産賃貸業、士業などの業種別の計算例も掲載し、初めての方でも理解できるよう丁寧に説明します。

また、事業開始時や事業承継時の特例新型コロナウイルス関連の特例措置など、納税額を抑えるための制度についても紹介します。この記事を読むことで、個人事業税の対象業種や所得の範囲、計算方法、申告・納付手続きまで、実務に役立つ知識を体系的に習得できます。


1. 個人事業税の基本知識

1.1 個人事業税とは

個人事業税は、地方税法に基づき、個人で事業を営む者に課される道府県税です。事業から生じた所得を基準に、各都道府県が課税します。

1.2 納税義務者と課税業種

納税義務者は、法令で定められた第1種から第3種に分類される70の業種に該当する個人事業主です。農業や林業、鉱業など一部の業種は非課税です。

区分代表的な業種税率
第1種事業物品販売業、飲食店業、不動産貸付業、運送業など5%
第2種事業畜産業、水産業など4%
第3種事業医師、税理士、弁護士、理容業など5%
その他あんま・マッサージ、はり・きゅう等の医業類似行為3%

※事業の区分に関する詳細は、各都道府県の税務課総務省の情報をご確認ください。


2. 個人事業税の計算方法

2.1 概要と計算式

個人事業税額は、以下の式で計算されます。

課税所得 = 所得金額 + 所得税の事業専従者給与 – 個人事業税の事業専従者給与 + 青色申告特別控除 – 事業主控除(年間290万円) – その他控除

個人事業税額 = 課税所得 × 税率

2.2 所得金額

事業所得または不動産所得のうち、課税対象事業に関する総収入金額から必要経費を差し引いた金額です。

2.3 事業専従者給与

  • 所得税上の事業専従者給与は、個人事業税では加算されます。
  • 個人事業税では、以下の金額が控除可能です:
    • 青色申告:支払額全額
    • 白色申告:配偶者86万円、その他親族50万円まで

2.4 青色申告特別控除

個人事業税では控除対象外のため、所得に加算します。

2.5 事業主控除

年額290万円(事業期間が1年未満の場合は月割)。この控除により、所得が290万円以下であれば課税されません。

2.6 その他の控除

  • 損失の繰越控除(青色申告者)
  • 被災資産の損失控除(自然災害等)
  • 事業用資産譲渡損失の繰越控除(青色申告者)

3. 業種別の計算例

3.1 飲食店業(税率5%)

項目金額
事業所得8,000,000円
事業主控除▲2,900,000円
課税所得5,100,000円
税額255,000円

3.2 不動産賃貸業(税率5%)

項目金額
不動産収入12,000,000円
必要経費▲4,000,000円
所得8,000,000円
控除▲2,900,000円
税額255,000円

3.3 士業(税理士など・税率5%)

項目金額
収入15,000,000円
経費▲6,000,000円
所得9,000,000円
控除▲2,900,000円
税額305,000円

※複数業種を営んでいる場合は、それぞれの所得を合算して計算します。


4. 申告と納付

4.1 申告時期と方法

所得税の確定申告(3月15日まで)と同時に、第一表の「個人事業税に関する事項」に記載すれば申告完了となります。

必要書類:

  • 所得税確定申告書(第一表・第二表)
  • 収支内訳書または青色申告決算書
  • 事業概況書

4.2 納付スケジュール

都道府県からの納税通知書により、通常年2回に分けて納付します。

納付時期納付額
第1期8月年税額の1/2
第2期11月年税額の1/2

4.3 納付方法

  • 金融機関窓口
  • 口座振替
  • クレジットカード
  • スマホ決済アプリ

5. 納付猶予制度

支払いが困難な場合、都道府県税事務所へ申請することで最長1年の猶予が可能です。※延滞金が発生することがあります。


6. 減免制度

以下のような事情がある場合、減免申請により税額を軽減できる可能性があります。

  • 災害による損害
  • 生活保護の受給
  • 高額医療費の支出
  • 納税者や扶養親族が障害者
  • 省エネ設備導入等の中小企業向け施策

※申請は納期限までに行う必要があります。詳細は都道府県の主税局HPをご参照ください。


7. まとめ

個人事業税は、事業の種類や所得規模に応じて課される重要な地方税です。対象業種の確認や課税計算、各種控除や減免制度を正しく理解することが、税負担を適正に管理する第一歩となります。

不明な点があれば、税理士など専門家への相談をおすすめします。