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印紙税と電子契約|契約書・領収書に収入印紙が必要なケース【2026年版】

取引先と契約書を交わすときや、お客様に領収書を渡すとき、「印紙はいくら必要か」「電子契約なら貼らなくてよいか」と迷うことがあります。印紙税は、金額だけで決まる税金ではありません。書類に書かれた内容と、紙で何を作成するかによって扱いが変わります。
この記事では、法人と個人事業主が日常の取引で確認したい印紙税を、契約書・領収書・電子契約の順に整理します。2026年10月5日時点の制度をもとに、消費税の記載による違い、印紙の貼り方、納付を忘れた場合まで解説します。
この記事のポイントは次の3点です。
- 「契約書」「業務委託」という名前だけで決めず、文書の内容で判定する
- 領収書の5万円基準と、請負契約書などの金額基準を区別する
- 電子記録、単なる印刷控え、契約成立を証明する紙の原本・副本を分けて確認する
1. 印紙税は書類の内容で判断する
印紙税を確認するときは、最初に、その書類が何を証明するために作られているかを見ます。紙の書類すべてに印紙が必要なわけではありません。
1.1 書類の名前だけでは決まらない
印紙税の対象となる文書は、印紙税法の課税物件表に掲げる20種類です。課税事項が記載され、当事者間でその事項を証明する目的があり、非課税文書に該当しないものが課税文書となります。
たとえば、仕事の完成と報酬の支払を約束する文書は、名称が「業務委託契約書」でも請負契約書になることがあります。反対に、名前が「契約書」でも、課税文書の種類に当てはまらなければ印紙税はかかりません。
請求書にも注意が必要です。請求だけをする文書と、金銭を受け取った事実を証明する文書では役割が違います。「済」「了」などの表示が受領の証明になっている場合は、表題が請求書でも受取書として判定することがあります。国税庁No.7100「課税文書に該当するかどうかの判断」
| 文書の例 | 主な区分・扱い | 確認する点 |
|---|---|---|
| 一般の請負契約書 | 第2号文書になる場合がある | 仕事の完成と報酬の約束があるか。名称だけで判断しない |
| 金銭消費貸借契約書 | 第1号文書 | 貸付け・借入れの金額。請負の税額表を使わない |
| 継続取引の基本契約書 | 第7号文書になる場合がある | 対象取引・基本条件、期間、更新、他の号との所属区分 |
| 建物の賃貸借契約書 | 原則として課税文書に該当しない | 土地の賃借権設定や金銭消費貸借の内容も記載されていないか |
| 営業に関する売上領収書 | 第17号の1文書 | 受領事実、記載金額、消費税等の区分 |
| 電子記録のみで締結する契約 | 課税文書となる紙を作成しない場合、印紙税の課税文書の作成なし | 後から紙の原本・証明文書を別途作る運用がないか |
2026年10月5日時点。文書の種類と記載内容に応じて判定します。
1.2 紙・内容・非課税条件・金額の順に確認する
実務では、①契約や受領を証明する紙を作成するか、②課税文書のどの種類に当たるか、③非課税となる条件に当たるか、④記載金額と税額、という順で確認すると整理しやすくなります。
契約書の金額が同じでも、請負契約書と金銭消費貸借契約書では税額が違います。契約金額がない場合も、直ちに非課税とはいえません。文書の種類によって、金額の記載がない文書に定められた税額を確認します。

2. 契約書で確認したい3つの区分
日常の契約では、一般の請負契約、継続取引の基本契約、建物の賃貸借などを分けて考えます。「業務委託なら一律200円」といった決め方はできません。
2.1 仕事の完成を約束する一般の請負契約書
請負は、一方が仕事を完成することを約束し、相手方がその結果に対して報酬を支払う契約です。物を作る仕事だけでなく、広告などの形が残らない仕事も含まれます。成果物や完成の約束があるかなど、契約内容を確認します。
一般の請負契約書は第2号文書に当たり、記載された契約金額が1万円未満なら非課税、1万円以上100万円以下なら200円です。100万円を超え200万円以下なら400円となります。国税庁No.7102「請負に関する契約書」
| 印紙税の記載金額 | 1通当たりの印紙税 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
2026年10月5日時点。文書の種類と記載内容に応じて判定します。
一方、金銭の貸付けや借入れを約束する金銭消費貸借契約書は、第1号文書です。記載金額100万円の場合、一般の請負契約書は200円、金銭消費貸借契約書は1,000円となります。同じ金額でも、文書の種類により税額が異なります。国税庁No.7101「不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」
2.2 継続取引の基本契約書は1通4,000円になる場合がある
営業者間で、売買や請負などの取引を継続して行うため、複数の取引に共通する条件を定める契約書は、第7号文書になる場合があります。対象となる取引・記載事項の要件を満たす場合の税額は、1通につき4,000円です。
ただし、契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めがない文書は第7号文書から除かれます。「3か月以内」だけでは足りず、更新の有無も確認します。この除外に当たっても、請負など別の号の課税文書に該当する可能性は残ります。
「契約期間が1年だから4,000円」「毎月支払うから基本契約書」とは決められません。第2号と第7号の両方の内容を含む場合の所属区分も、契約金額の記載などにより判断します。国税庁No.7104「継続的取引の基本となる契約書」
2.3 建物賃貸借と建設工事の扱い
建物の賃貸借契約書は、原則として課税文書に該当しません。ただし、土地の賃借権を設定する事項を含む場合や、建設協力金について別途金銭消費貸借の内容が記載される場合などは、その内容も確認します。国税庁No.7106「建物の賃貸借契約書」
不動産売買契約書と建設工事の請負契約書には、2027年3月31日までに作成する対象文書の印紙税を軽減する制度があります。不動産売買は記載金額10万円超、建設工事請負は100万円超などの条件があり、適用日は文書を作成した日で判断します。Web制作や広告などの一般の請負契約に、建設工事の軽減税額を当てはめないようにしましょう。国税庁No.7108「印紙税の軽減措置」
3. 領収書は「5万円未満」と「5万円以上」を区別する
領収書では、金銭等を受け取った事実を証明しているか、営業に関するものか、売上代金かどうかを確認します。法人と個人事業主で、基本の金額基準が変わるわけではありません。
3.1 紙の売上領収書は5万円から200円
営業に関する売上代金の受取書は、第17号の1文書です。記載された受取金額が5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下なら200円です。「5万円以下は不要」ではないため、ちょうど5万円の領収書に注意しましょう。
49,999円なら非課税、50,000円なら200円です。100万円ちょうどまでは200円ですが、1,000,001円になると400円に変わります。消費税を除く条件を満たす場合は、次の章で説明する除外後の金額で判定します。
営業に関しない受取書は非課税です。また、借入金など売上代金以外の金銭の受取書は第17号の2文書となり、記載金額5万円以上は200円です。売上領収書の税額表を、すべての受取書にそのまま使うわけではありません。国税庁No.7105「金銭又は有価証券の受取書、領収書」
| 印紙税の記載金額 | 1通当たりの印紙税 | 境界で確認すること |
|---|---|---|
| 49,999円 | 非課税 | 5万円未満 |
| 50,000円 | 200円 | 5万円ちょうどは非課税の範囲外 |
| 1,000,000円 | 200円 | 100万円以下 |
| 1,000,001円 | 400円 | 100万円を超える |
| 2,000,000円 | 400円 | 100万円超200万円以下 |
2026年10月5日時点。文書の種類と記載内容に応じて判定します。
3.2 キャッシュレス決済なら一律不要とはいえない
クレジット販売では、領収書の交付時に金銭等を受け取った事実がなく、そのことが文書上明らかであれば、第17号文書に当たりません。反対に、受領事実がないことが文書上明らかでない場合は、受取書として扱われます。
QRコード等の決済も、仕組みや加盟店契約によって扱いが違います。「コード決済」とだけ書けば必ず印紙が不要になる、というルールはありません。店舗で使う領収書の書式を決めるときは、決済事業者の契約内容と、領収書の表示を合わせて確認します。国税庁「コード決済サービスを利用して決済を行った者に交付する領収書」
4. 消費税の書き方で印紙税が変わることがある
受け取る総額が同じでも、文書に消費税等をどう書いたかによって、印紙税の記載金額が変わることがあります。会計で税抜経理をしているだけでは、文書の記載から自動で消費税を除けません。
4.1 消費税を除外できる主な条件
消費税の課税事業者が課税取引について作成する第1号・第2号・第17号文書では、消費税等の金額を具体的に区分して記載するか、税込価格と税抜価格を両方記載して税額が明らかな場合、その消費税等を印紙税の記載金額に含めません。
「税込」「消費税10%を含む」という表示だけでは、具体的な税額が明らかではないため、除外できません。また、免税事業者が消費税相当額を区分しても、この取扱いで除外することはできません。文書の種類と事業者の区分を先に確認しましょう。国税庁No.7124「消費税等の額が区分記載された契約書等の記載金額」
4.2 領収書52,800円の例
課税事業者が課税取引の紙の売上領収書に「本体48,000円、消費税4,800円、合計52,800円」と具体的に書くと、印紙税の記載金額は48,000円です。5万円未満となるため非課税になります。
同じ取引でも「52,800円(税込)」だけなら、記載金額は52,800円となり、印紙税200円が必要です。税抜・税込の両方を記載した場合も、税額が明らかなら除外できます。
この違いは、金額を書き分けることで自由に税額を選べるという話ではありません。実際の取引に沿った税額・金額を、必要な条件を満たして記載する場合の扱いです。
| 発行者の区分 | 領収書の記載 | 印紙税の記載金額 | 印紙税 |
|---|---|---|---|
| 消費税の課税事業者 | 本体48,000円/消費税4,800円/合計52,800円 | 48,000円 | 非課税 |
| 消費税の課税事業者 | 税抜48,000円/税込52,800円 | 48,000円 | 非課税 |
| 消費税の課税事業者 | 52,800円(税込) | 52,800円 | 200円 |
| 消費税の課税事業者 | 52,800円(消費税10%を含む) | 52,800円 | 200円 |
| 消費税の免税事業者 | 本体48,000円/消費税相当額4,800円/合計52,800円 | 52,800円 | 200円 |
2026年10月5日時点。文書の種類と記載内容に応じて判定します。

4.3 一般の請負契約書110万円の例
第2号となる一般の単発請負契約で、課税事業者が課税取引の契約書に「契約金額100万円、消費税10万円、合計110万円」と具体的に区分すると、記載金額は100万円で印紙税200円です。「110万円(税込)」だけなら110万円で判定し、400円になります。
この例は、建設工事の軽減措置や第7号の継続取引基本契約に当たらない一般の請負を前提としています。領収書の5万円未満という基準を、請負契約書へ当てはめないことも大切です。
5. 電子契約と紙の印刷控えはどう考えるか
電子契約を導入するときは、契約を締結するデータと、保存・閲覧のための紙を区別します。電子で締結した後に、紙の原本を別途交わす運用が残っていないかも確認しましょう。
5.1 電子記録だけなら課税文書の作成に当たらない
電子記録は、印紙税の対象となる紙の文書ではありません。電子的に締結し、課税文書となる紙を作成しない場合は、印紙税の課税文書の作成がありません。
国税局の文書回答でも、注文請書をPDFにしてメールで送信し、紙の現物を交付しないケースは、課税文書の作成に当たらないとされています。同じ照会では、後から紙の現物を交付する場合は課税対象になる点も示されています。福岡国税局の回答、照会の事実関係
5.2 単なるコピーと、契約を証明する副本の違い
原本の単なるコピーや、メール・FAXを受け取った側が出力しただけの文書は、通常、写しとして扱われます。電子契約の内容を確認するために印刷しただけで、必ず印紙が必要になるわけではありません。
ただし、「写し」「副本」と書かれていても、当事者の署名押印などにより契約成立を証明する目的を持つものは、課税文書になることがあります。原本と相違ない旨の証明等にも注意が必要です。コピーという呼び名だけで判断しないようにしましょう。
紙の課税契約書を原本2通作って双方が1通ずつ持つ場合は、各通について印紙税を判定します。1通200円なら2通で合計400円です。原本を1通にして単なるコピーを保管する場合とは、作成する文書の性質が違います。国税庁No.7120「契約書の写し、副本、謄本等」
| 作成・保管の方法 | 印紙税の確認 | 注意する点 |
|---|---|---|
| 電子記録のみで締結し、課税文書となる紙を作成しない | 印紙税の課税文書の作成なし | 電子化後も紙の原本を別途交わす運用がないか |
| 電子文書を受信した側が出力しただけの印刷控え | 通常、単なる写しとして扱う | 署名押印等を加えて契約成立を証明する紙の文書にしていないか |
| 紙原本の単なるコピー | 通常、単なる写しとして扱う | 『原本と相違ない』旨の証明等を加えた場合は別途確認 |
| 双方用に紙の課税契約書原本を2通作成 | 各通に課税。1通200円なら合計400円 | 通数で分ける。片方を『控え』と呼ぶだけで除外しない |
| 『写し』『副本』に署名押印等を加え、契約成立を証明する文書として作成 | 内容により課税文書として判定 | 文書名ではなく、誰の署名押印か、証明内容・目的を確認 |
2026年10月5日時点。文書の種類と記載内容に応じて判定します。
6. 印紙の貼付・消印と、納め忘れへの対応
必要な税額が分かったら、納付と消印まで行います。印紙を購入して手元に置くだけでは、その文書の印紙税を納付したことにはなりません。
6.1 原則、文書の作成時までに貼付して消印する
原則として、課税文書を作成する時までに、必要な印紙税額の収入印紙を文書に貼り付けて納付します。文書と印紙の彩紋にかけて、印章または署名で、はっきり消印することも必要です。
消印は再使用を防ぐためのものです。印紙にだけ印を押して文書にかかっていない状態で終わらせないようにしましょう。自己だけでなく、代理人や使用人などの印章・署名で行うこともできます。国税庁No.7129「印紙税の納付方法」

6.2 未納は原則、税額の3倍の過怠税
納めるべき印紙税を納めなかった場合は、原則として未納税額とその2倍を合わせた、税額の3倍の過怠税が徴収されます。200円を納めなかった場合は600円です。「本税200円に加えて600円」の合計800円ではありません。
税務調査による決定を予知する前に不納付を申し出るなど、一定の条件を満たす場合は1.1倍となり、200円の例では220円です。自主的に気づいたから必ずこの税額になると決めず、所轄税務署に手続を確認します。
印紙を貼っていても消印しなかった場合は、その印紙の額面に相当する過怠税の対象となります。過怠税は法人の損金にも、個人の必要経費にも算入できません。国税庁No.7131「印紙税を納めなかったとき」
6.3 貼りすぎ・非課税文書への貼付は還付を確認する
必要額を超えて貼った場合や、非課税文書に誤って印紙を貼った場合などは、印紙税の過誤納確認を受けて還付できることがあります。税務署へ申請し、対象文書の現物を提示する手続です。文書を作成してから5年を経過したものは対象外となるため、気づいた時点で確認しましょう。
郵便局での未使用印紙の交換と、税務署での印紙税の還付は別の手続です。貼り付けた文書を自己判断で処分する前に、必要な現物と手続を確認します。国税庁No.7130「誤って納付した印紙税の還付」
7. よくある質問
迷いやすいのは、少額の契約、継続契約、電子化した後の紙の運用です。普段の処理ルールを決める際にも、次の点を確認しておきましょう。
7.1 5万円未満の契約書なら印紙は不要ですか?
5万円未満という基準は、金銭等の受取書の非課税基準です。一般の請負契約書では1万円未満という基準が使われるため、契約金額3万円でも第2号文書なら200円になります。書類の種類を先に確認してください。
7.2 契約期間が3か月なら印紙は不要ですか?
3か月以内で更新の定めがないという条件は、第7号文書から除外するための条件です。別の課税文書に該当するかどうかは引き続き確認が必要です。また、自動更新の条項がある場合は「更新の定めがない」条件を満たしません。
7.3 電子契約を紙に印刷して保管しても大丈夫ですか?
単なる印刷控えと、当事者の署名押印等を加えて契約成立を証明する紙の文書を区別します。印刷したという理由だけで必ず課税されるわけではありません。別途紙の原本を交わす運用なら、その紙について判定してください。
8. まとめ
印紙税は、紙の証明文書を作成するか、課税文書のどの種類に当たるか、非課税条件、記載金額の順に確認します。領収書の5万円基準を契約書にも使ったり、業務委託契約を一律に同じ税額としたりしないことが大切です。
電子契約では、電子記録だけで締結する運用と、別途紙の原本を交わす運用を分けます。紙の契約書・領収書は、消費税等の具体的な区分と原本の通数を確認し、必要な印紙の貼付と消印まで行いましょう。
契約書や領収書の印紙税、電子契約への切り替えについては、LivRoot税理士法人にご相談ください。書類の内容をうかがいながら、印紙が必要か、どの金額で判断するかをその場でお伝えします。お問い合わせ

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