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パーソナルトレーナーの確定申告|業務委託の売上・源泉徴収・必要経費の整理【2026年版】

更新日: 2026年10月8日 | カテゴリ: 個人事業主
トレーナーの確定申告。収入と経費を整理する

ジムから受け取る報酬、お客様から直接受け取るセッション料金、オンライン指導の売上。パーソナルトレーナーは、同じ指導の仕事でも、契約やお金の受取り方によって帳簿と申告で確認する点が変わります。「振り込まれた額を売上にすればよい」「身体づくりに使ったお金はすべて経費」と考えると、収入や必要経費を誤ることがあります。

この記事では、日本の居住者である個人のパーソナルトレーナーを対象に、給与と業務委託の違い、売上の計上、源泉徴収、指導に関する必要経費、申告前に揃える資料を整理します。制度の基準日は2026年10月7日です。法人が運営するジムの決算や、医療行為の税務は対象に含めません。

この記事のポイントは次の3点です。

  • 雇用による給与と、自分で受ける指導の報酬を区分する
  • 源泉徴収や手数料が差し引かれる前の金額と、入金額を分ける
  • 指導に必要な支出と、自分の生活・趣味の支出を分け、根拠を残す

1. ジムの給与と業務委託報酬は同じ扱いではない

1.1 雇用で働く場合は給与所得

ジムに雇用されて働き、給料を受け取る場合は給与所得です。給与所得は、原則として給与収入から給与所得控除を差し引いて計算します。自分で払った指導用の本代やウェア代を、事業の必要経費と同じように給与収入から直接差し引くことはできません。一定の支出については特定支出控除がありますが、勤務先の証明など別の要件を確認する制度です。国税庁No.1400「給与所得」

給与の源泉徴収票と、業務委託報酬の支払明細書は別に整理します。雇用の給料も個人指導の報酬も同じ銀行口座へ入っている場合、口座の入金合計をそのまま事業の売上にしないようにしましょう。

1.2 「業務委託」という契約名だけでは決まらない

自分の責任で指導を受注する場合の報酬は、活動の実態に応じて事業所得または業務に係る雑所得として検討します。ただし、契約書の見出しに「業務委託」とあるだけで、給与以外の所得に決まるわけではありません。

仕事の具体的な進め方への指揮監督、時間の拘束、代わりの担当者を手配できるか、費用や仕事上の危険を誰が負担するかなどを総合して確認します。施設の器具を使うこと、時間単位で報酬を受けることなど、1つの事情だけで結論を出さないことが大切です。国税不服審判所・裁決事例集No.79の所得区分の判断

働き方・受取り方所得区分の確認揃える資料の例
ジムに雇用されて給料を受け取る給与所得。原則は給与所得控除で計算雇用契約、給与明細、源泉徴収票
独立して継続的に指導を受注する社会通念上の事業に当たるかを判断し、事業所得を検討業務委託契約、指導実績、請求・精算明細、帳簿
副業等で個人の指導報酬を受け取る活動の実態に応じて事業所得または業務に係る雑所得を判断給与の資料と指導業務の帳簿・明細を区分
契約の名称や副業かどうか、売上額の1点だけでは決まりません。指揮監督、独立性、活動規模、帳簿保存等の実態を確認します。給与収入と指導報酬を同じ売上に合算しません。基準日:2026年10月7日。 対象者と取引の条件を確認してください。

2. 独立・副業で変わる確定申告の確認点

2.1 事業所得と雑所得は売上額だけで区切らない

独立して継続的に指導を行っていても、所得区分は自分で自由に選べるものではありません。その活動が社会通念上、事業といえる程度かどうかで判断します。営業の継続性や規模、独立した運営の状況、帳簿書類の保存状況などを確認します。

「売上が300万円以下だから必ず雑所得」「開業届を出したから必ず事業所得」とは考えません。帳簿書類がない場合の取扱いにも定めがあるため、少額だからという理由で記録を省くのは避けましょう。事業所得かどうかは、帳簿があるという1点だけでも決まりません。国税庁・所得税基本通達35-2

2.2 副業の「20万円」は売上ではなく所得の基準

給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け、その全部が源泉徴収の対象となる人は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら、原則として所得税の確定申告をしなくてよい場合があります。副業の指導料だけでなく、ほかの対象所得も合計して判断します。2か所以上の給与などがある場合は確認方法が変わります。国税庁No.2020、No.1900

ここでいう所得は、通常、指導の収入から必要経費を差し引いた金額です。銀行への入金額や指導料の売上合計そのものではありません。独立したトレーナー全員に「利益20万円以下なら申告不要」という基準があるわけでもなく、所得控除や税額等を含めて申告の要否を確認します。

所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要になる場合があります。お住まいの自治体の案内を確認してください。さいたま市・副業の所得が20万円以下の場合の申告

また、医療費控除などのために所得税の確定申告をする場合は、上記の20万円以下の所得も一緒に申告します。国税庁・確定申告を要しない場合の意義

3. 売上は「指導した日」と「入金した日」を分けて記録する

3.1 年末の未入金分を見落とさない

事業の収入は、原則として収入を受け取る権利が確定した時に計上します。人的なサービスでは、原則として役務の提供を完了した日を基準とし、一定期間ごとや提供の程度に応じて報酬が発生する契約等は、その内容に沿って判断します。国税庁No.2200、所得税基本通達36-8(5)・36-14(2)

たとえば12月のセッションを終えて報酬額が確定し、1月に振り込まれる契約では、原則として12月の属する年の売上を確認します。まだ受け取っていない分は売掛金等として整理します。一定の要件を満たして現金主義を適用する場合は別ですが、任意に入金時の計上へ変えてよいわけではありません。

記録には、セッション日、顧客または支払元、指導内容、報酬額、請求日、入金日を対応させます。予約システムの履歴は指導実績を、銀行明細は入金を確認する資料なので、片方だけでは情報が足りないことがあります。

3.2 ジムの売上全額が自分の売上とは限らない

お客様がジムへ払った料金と、自分がジムから受け取る委託報酬は、契約によって別の金額になります。ジムがサービスの契約主体で、自分はジムから指導を受託しているなら、自分の報酬として確定する金額を確認します。

一方、自分がお客様と契約し、ジムが場所の提供や決済の代行をしている場合は、顧客料金を売上、施設利用料や決済手数料を費用として整理することが考えられます。誰と誰の取引なのか、手数料を誰が負担するのかを、契約書と精算明細で確かめます。手数料控除後の入金だけを記帳し、売上と費用の両方を省いてしまわないようにします。

3.3 回数券・返金は契約条件と利用記録を確認

自分が回数券を販売する場合は、先に受け取った料金と、すでに提供した指導を分けて管理します。各回の指導の提供に応じて収入が確定する契約では、未提供分を前受金として管理する処理が考えられます。ただし、回数券という名称だけで、すべての契約の売上を機械的に回数割りにすることはできません。

有効期限、返金の条件、指導の提供単位、会員向けの別サービスが含まれるかなどを確認します。期限切れやキャンセル料、返金が発生した場合も、発生した事実と契約上の権利・義務がどうなったかを残します。年末には、販売記録と利用記録から、未提供分と未入金分をそれぞれ一覧にしておくと整理しやすくなります。

個人トレーナーの売上と入金を分けて確認。原則は役務完了と契約内容で計上時期を確認。源泉徴収前の報酬額と入金額を分け、回数券の未提供分は契約と利用記録から判断する。現金主義の特例等は別途確認

4. 源泉徴収された報酬も、税引き前の金額を確認する

4.1 スポーツの指導報酬は源泉徴収の対象になり得る

居住者である個人に支払われる、スポーツの教授・指導の報酬は、所得税法上の源泉徴収対象に含まれます。法人のジム等から指導料を受ける場合は、報酬の内容と源泉徴収額を確認してください。すべての外注業務が対象になるわけではなく、受付・清掃など別の仕事の報酬まで、職業名だけで一律に扱うものではありません。国税庁・所得税基本通達204-6表6

支払者が個人で、給与等の支払者ではない場合などは、報酬の源泉徴収が不要となる取扱いがあります。通常のお客様個人から直接受け取る料金まで、必ず税金を差し引くという意味ではありません。国税庁No.2793「報酬・料金等の源泉徴収義務者」

4.2 入金89,790円でも、報酬は100,000円という例

2026年に支払われる指導報酬100,000円を全額源泉徴収の対象とし、1回の支払金額が100万円以下の例で考えます。消費税額を別記していないものとし、ほかの手数料の控除はない前提です。

源泉徴収税額は100,000円×10.21%=10,210円、入金額は100,000円−10,210円=89,790円です。税込経理のこの例では売上は100,000円として確認し、10,210円は自分の所得税等の前払いとして区分します。源泉徴収税額を事業の必要経費にして、売上からさらに差し引くことはしません。国税庁・令和8年版源泉徴収のあらまし第5、No.2210

項目金額・計算帳簿・申告での確認
指導報酬100,000円源泉徴収前の報酬額
源泉徴収税額100,000円×10.21%=10,210円所得税等の前払いとして区分。事業の必要経費にしない
銀行への入金100,000円−10,210円=89,790円売上額と混同しない
税込経理での売上100,000円源泉徴収税額の10,210円を含む金額で確認
2026年に支払われる居住者個人のスポーツ指導報酬。1回の源泉徴収対象額100万円以下、報酬と消費税額を区分記載せず100,000円全額を対象とする例です。税込経理、他の手数料・返金等なし。消費税額を明確に区分する場合等は別途確認。基準日:2026年10月7日。 対象者と取引の条件を確認してください。

消費税額が請求書等で明確に区分されている場合には、源泉徴収の対象金額が変わることがあります。また、1回の対象金額が100万円を超える場合の計算も異なります。実際の明細を確認し、この例の率を入金額に掛け戻して推測しないようにしましょう。国税庁No.2795

源泉徴収は最終的な申告や納税を終わらせる手続ではありません。確定申告では年間の所得や控除に基づいて税額を計算し、源泉徴収済みの税額と精算します。源泉徴収があっても申告の確認が必要で、経費があるから必ず還付されるとも限りません。国税庁No.2020

5. トレーナーの必要経費は、仕事との関係から判断する

5.1 指導場所・教材・研修の支出

必要経費は、収入を得るために直接必要な費用や、業務上の費用です。領収書があることに加えて、何の仕事のために使ったかを説明できるようにします。国税庁No.1350

たとえば指導のために借りたレンタルジムの料金、顧客のフォーム確認に使う撮影器具、指導教材、予約管理サービス、仕事の集客広告などは、業務との関係を確認して整理します。研修や資格更新の費用も、現在の指導業務との関係、参加内容、仕事での利用を記録しておきます。名前に「スポーツ」「健康」とある講座が、すべて必要経費になるわけではありません。

領収書の摘要が「利用料」だけの場合は、セッションの予定や利用内容を補足します。研修は申込資料、講座内容、受講記録を一緒に保管すると、プライベートの体験参加との違いを確認できます。これは実務上の記録例で、全国一律の専用書式が必要という意味ではありません。

5.2 自分の食事・サプリ・運動を一括で経費にしない

トレーナー自身の健康管理や通常の食事、日常の衣服などの生活費は、職業がトレーナーというだけで必要経費になるものではありません。自分が飲むプロテインやサプリも、身体づくりに役立つという理由だけで全額を経費にしないようにします。

顧客向けの販売用商品や、具体的な指導で使う教材・提供物とは目的が違います。商品販売を行う場合は、自分で消費するものと販売用の仕入れを分け、年末の在庫や自家消費の処理も別途確認します。ウェアやシューズ、ジム会費も、指導に使う実態と私用を区分し、購入名目だけで判断しません。国税庁No.2210、No.2200

5.3 スマートフォン・自宅・車は根拠のある区分を

予約の連絡と私用の両方に使うスマートフォン、自宅でのオンライン指導、訪問指導と買い物の両方に使う車などは、仕事と生活が混在します。取引記録等に基づき、業務に直接必要だった部分を明らかに区分できる金額が必要経費になります。「トレーナーは一律50%」といった共通割合はありません。

たとえば月6,000円の通信料について、利用記録等から業務分40%を合理的に区分できるなら、業務分は6,000円×40%=2,400円です。40%はこの例の仮定で、法定の割合ではありません。自宅の家賃は使用面積や使用状況、車は走行記録など、支出に合った根拠を残します。

自宅用の高額なトレーニング機器やパソコンは、業務用部分の確認に加え、減価償却や少額資産の取扱いも確認します。仕事で使うものでも、買った年に必ず全額を経費にできるわけではありません。国税庁No.2100「減価償却のあらまし」

支出の例確認すること記録の例
レンタルジム・指導場所の利用料具体的な指導業務との関係。私用利用と分ける施設の利用明細、セッション予定・実績
指導教材・撮影器具・予約サービス業務用途と私用を区分。資産は減価償却等も確認領収書、用途、購入日・使用開始日
研修・資格更新現在の指導業務との関係と利用内容申込資料、講座内容、受講記録
通信料・自宅の家賃・車の費用混在する支出は根拠を基に業務分を明らかに区分利用記録、使用面積・状況、走行記録
ウェア・シューズ・ジム会費職業名で一律判断せず、指導用途と私用の実態を確認使用目的、指導での利用状況
通常の食事・自分用プロテイン等生活費を身体づくりの名目で一括経費にしない販売用・顧客向け提供物との目的の区分
事業所得または業務に係る雑所得に関する一般的な確認例です。すべての支出が必ず経費になるという表ではありません。資料は実務上の記録例で全国一律の専用書式ではありません。給与は事業と同じ必要経費計算を行いません。基準日:2026年10月7日。 対象者と取引の条件を確認してください。
必要経費と私費を分ける。指導場所や教材などは業務との関係を確認。仕事と私用が混在する通信料等は記録を基に業務分を区分し、通常の食事など私費を一括計上しない。高額な器具は減価償却等も確認

6. 青色申告は事前の申請と帳簿の要件を確認する

トレーナーの活動が事業所得に当たる場合は、青色申告を検討できます。業務に係る雑所得の指導料に、青色申告特別控除を適用することはできません。開業届と青色申告承認申請書は別の手続なので、開業届だけ出して安心しないようにしましょう。国税庁No.2070「青色申告制度」

青色申告承認申請書の提出は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに事業を始めた場合は、原則として開始日から2か月以内です。期限が土日祝日等に当たる場合の取扱いも確認します。契約を切り替えて独立するときは、実際の事業開始日と申請状況を早めに確かめてください。国税庁A1-8「所得税の青色申告承認申請手続」

2026年分の最高55万円の青色申告特別控除には、原則として複式簿記による記帳、貸借対照表・損益計算書等の添付、期限内申告などの要件があります。最高65万円には、これらに加え、期限内のe-Tax申告、または所定の要件を満たす優良な電子帳簿の保存等が必要です。会計ソフトを使うだけで、最高65万円の控除が自動的に受けられるわけではありません。国税庁No.2072「青色申告特別控除」

7. 申告前は契約・指導実績・入金を照合する

事業所得の記帳・帳簿等の保存は、白色申告の場合や、所得税の申告が不要の場合も対象になります。売上と費用を申告直前の記憶だけで集計せず、毎月整理することが大切です。国税庁・個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存

実務では、契約書、予約・指導実績、請求書、ジムや決済会社の精算明細、通帳・カード明細、領収書、源泉徴収の明細を対応させます。給与がある人は源泉徴収票も分けて揃えます。電子で受け取った請求書等は元データも整理し、適用される保存方法を確認しましょう。

年末には、終わった指導の未入金、回数券等の未提供分、返金・キャンセル、仕事と私用の区分を見直します。ジムの精算で源泉徴収と施設利用料の両方が差し引かれている場合は、それぞれの内訳を確認します。口座残高が合うことと、税務上の売上・経費が正しいことは別です。

8. まとめ

パーソナルトレーナーの確定申告は、契約ごとに給与と業務委託を区分し、指導実績、報酬、入金を結び付けることから始まります。事業所得と雑所得の区分、申告の要否、青色申告の要件は、それぞれ確認する必要があります。

源泉徴収や決済手数料が差し引かれた報酬は、入金だけを見て売上を決めないようにします。必要経費も、指導のための支出と自分の生活の支出を分け、混在する費用は根拠を残して区分しましょう。

パーソナルトレーナーの確定申告については、LivRoot税理士法人にご相談ください。働き方や契約、指導料の受取り方をうかがいながら、売上・源泉徴収・必要経費で確認したい点をその場でお伝えします。お問い合わせ

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