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棚卸・売れ残り在庫の税務|期末在庫・売上原価・評価減と廃棄の注意点【2026年版】

更新日: 2026年10月20日 | カテゴリ: 個人事業主, 法人
棚卸と在庫の税務。期末の在庫と記録を確認。商品棚で在庫を数える手元を描いた水彩調のアイキャッチ。LivRoot税理士法人。

年末や決算が近づくと、「仕入代金は払ったのに、利益が思ったより多い」「何年も売れない商品を在庫に残す必要があるのか」と悩むことがあります。商品を仕入れて販売する事業では、仕入れた金額と、その年・事業年度の売上原価は同じとは限りません。期末に残る在庫を確認し、金額を評価する棚卸が必要です。

この記事では、個人事業主と法人を対象に、棚卸の進め方、期末在庫と売上原価の関係、売れ残りの評価減・評価損、実際に廃棄した場合の記録を整理します。制度の基準日は2026年10月7日です。

この記事のポイントは次の3点です。

  • 店舗だけでなく外部倉庫や委託先も確認し、自社の在庫と預かり品を分ける
  • 売れ残りという理由だけで、在庫を0円にしたり棚卸から外したりしない
  • 通常の評価、特別な評価減・評価損、実際の廃棄を区別し、根拠を残す

1. 棚卸は「何が、いくつ、いくら残っているか」の確認

棚卸では、期末に残っている商品の数量と状態を調べ、適用する評価方法で金額を計算します。数量を数える作業と金額を決める作業を分けると、数え漏れや単価の誤りを見つけやすくなります。

1.1 商品だけでなく材料や製造途中のものも対象

棚卸資産には、商品・製品のほか、原材料、半製品、仕掛品などが含まれます。仕掛品とは、まだ完成していない製造途中のものなどです。完成品だけを数えて、加工中の材料や製品を省かないようにします。

一方、事務所で使うパソコンや製造に使う機械など、自社が使う設備・備品は、販売用の商品と区別します。同じパソコンでも、販売店が売るために保有するものと、経理担当者が業務で使うものでは役割が違います。金額だけで棚卸資産か固定資産かを決めないことが大切です。所得税法施行令第3条、法人税法施行令第10条

1.2 自社倉庫にあるものだけで判断しない

自社の在庫として残る商品は、外部倉庫や販売委託先にあっても確認が必要です。反対に、他社の商品を預かっている場合は、自社の在庫に混ぜません。委託先へ送っただけなのか、すでに販売されたのかも、報告書等で確かめます。

運送中の商品や期末前後の入出荷は、物が今どこにあるかだけでは判断できません。契約、引渡し、採用している売上・仕入の計上基準を確認し、期末時点で自社の在庫として残るものを整理します。代金を払ったかどうかだけで棚卸対象を決めないようにしましょう。

保管場所・状態棚卸での確認資料の例
店舗・倉庫の販売用商品期末に自社が有する未販売の商品を数える。売れ残りも省かない商品台帳、実地棚卸表
製品・原材料・仕掛品完成品だけでなく材料や製造途中のものも確認。製造業では原価計算が必要材料台帳、製造記録、原価資料
外部倉庫・委託先にある自社商品自社の在庫として残るものは含める。販売済みかを委託先等に確認残高確認、委託販売の報告書
他社から預かっている商品他社が有する預かり品は自社の在庫と分ける預かり台帳、契約書
運送中・期末前後の入出荷場所だけで決めず、契約・引渡し・計上基準を確認し売上と仕入に合わせる納品書、出荷記録、検収資料
自社で使用する設備・備品販売用の商品と区別。固定資産等として扱うものは商品在庫に混ぜない固定資産台帳、用途の記録
期末の自社在庫を把握するための実務上の確認例です。単に倉庫にあるか、支払済みかで判断しません。消耗品の貯蔵品も対象になり得ますが、一定の継続処理等の取扱いは別途確認します。出典:所得税法施行令3・103条、法人税法施行令10・32条、所得税基本通達36-8・36-8の2・47-25、法人税基本通達5-4-1。

2. 期末在庫は売上原価と利益にどう影響する?

商品を仕入れてそのまま販売する事業では、期首在庫と当期仕入の合計から期末在庫を引いて、売上原価を計算します。期末在庫は、翌期以降の販売に対応する商品の原価として繰り越します。

2.1 30万円+100万円−40万円=売上原価90万円

期首在庫が30万円、当期仕入が100万円、期末在庫が40万円なら、売上原価は次の計算です。

期首在庫30万円+当期仕入100万円−期末在庫40万円=売上原価90万円

売上が150万円なら、売上総利益は150万円−90万円=60万円です。売上総利益は「粗利益」とも呼ばれ、家賃や人件費など、ほかの経費を引く前の利益です。最終的な利益や課税所得、納める税額を表す数字ではありません。

この例は金額をすべて税込経理で統一し、評価損・廃棄・返品等の別途調整はないものとしています。実際には、自社の経理方式と取得価額の取扱いに合わせて計算します。製造業では材料費・労務費等を含む製造原価の計算も必要です。所得税法第37条・第47条、法人税法第22条・第29条

項目金額・計算意味
期首在庫30万円前期から繰り越した商品
当期仕入100万円当期に仕入れた商品
販売に使える商品の原価合計30万円+100万円=130万円期首在庫と当期仕入の合計
期末在庫40万円翌期へ繰り越す商品の評価額
売上原価30万円+100万円−40万円=90万円当期の売上に対応する商品の原価
売上150万円当期の売上金額
売上総利益(粗利益)150万円−90万円=60万円他の経費を引く前の利益。税額ではない
商品を仕入れて販売する事業の単純化した例。金額はすべて税込経理で統一し、評価損・廃棄・返品等の別途調整はないものとします。60万円から家賃・人件費等の他の経費をさらに引くため、最終利益や課税所得、税額とは異なります。製造業は材料費・労務費等を含む製造原価の計算が必要です。出典:所得税法37・47条、法人税法22・29条、国税庁No.6375。
税込経理で統一した例。期首在庫30万円と当期仕入100万円の合計から期末在庫40万円を引き売上原価90万円。売上150万円から原価90万円を引くと売上総利益60万円。他の経費を引く前の利益で税額ではない

2.2 仕入代金の支払額と当期の原価は違う

年末に商品をまとめて仕入れても、売れていない商品が期末に残れば、その分は在庫になります。「決算前に仕入れて支払ったから、全額を当期の経費にできる」という処理はできません。

上の例で、ほかの条件が同じまま期末在庫を50万円とすると、原価は30万円+100万円−50万円=80万円、粗利益は150万円−80万円=70万円です。期末在庫の10万円の違いが、当期の粗利益にも10万円の違いを生みます。ただし、利益を調整するために在庫額を選べるという意味ではありません。数量と適用する評価方法で正しく計算します。

3. 実地棚卸を進める順番

個人事業主の通常の棚卸基準日は12月31日、法人は事業年度末です。決算書を作るときに前年と同じ在庫額を入れるのではなく、その期末の在庫を把握します。

3.1 場所・商品・数える単位を先に決める

まず、店舗、自社倉庫、外部倉庫、委託先など、在庫がある場所を一覧にします。商品コード、品名、規格、数える単位を揃え、「1箱」と「1個」の混在を防ぎます。段ボールの中や展示品、返品された商品も確認します。

数え終わった場所を区別し、担当者と確認者を記録すると、二重カウントや漏れを見つけやすくなります。売れ残りや傷んだ商品も、現物が残っているなら数量を記録し、正常品と状態を分けておきます。数える段階で勝手に除外せず、後の評価判断につなげます。

3.2 期末前後の入出庫と帳簿を照合する

棚卸中に出荷や受入れを行う場合は、その移動を別に記録します。棚卸数量がどの時点の数量か曖昧だと、販売済み商品が在庫にも残る、仕入れた商品が帳簿にも現物にも入らない、といったずれが起こります。

期末前後の納品書、出荷・検収記録、返品記録を確認し、売上、仕入、在庫の計上期間を揃えます。引渡しの日は取引内容に応じた合理的な基準で継続して判断するため、「出荷したら必ず在庫から外す」と一律に決めないことも大切です。国税庁・所得税基本通達36-8、36-8の2、法人税基本通達2-1-2、2-1-3

実数と帳簿の数量が違うときは、再カウントの後、入力漏れ、単位の違い、移動や返品の未記録などを調べます。理由が分からないまま、差額をすべて「廃棄」として処理しないようにしましょう。

3.3 別の日に数えるときも期末の数量を求める

国税庁の通達では、実地棚卸に代えて部分計画棚卸などの合理的な方法で期末の在高を算定する場合、継続適用を条件に認める取扱いがあります。期末より前後に数える場合も、入出庫記録等で期末の数量に整合させる必要があります。

「毎年忙しいので前年の在庫額を使う」という方法を認めるものではありません。取扱量や商品の性質に合う方法を決め、期末在庫が説明できる記録を残します。国税庁・所得税基本通達47-25、法人税基本通達5-4-1

棚卸対象を店や自社倉庫、外部倉庫と委託先、他社の預かり品、期末前後の入出荷と運送中に分けて確認。場所だけでなく自社の在庫かと取引の計上時期を確かめる

4. 在庫の金額は適用する評価方法で決める

数量が確定したら、単価等を使って在庫金額を計算します。仕入値、定価、値下げ後の売価を都合よく使い分けるのではなく、どの評価方法を適用しているかを先に確認します。

4.1 届出をしていなければ原則は最終仕入原価法

原価法には、最終仕入原価法、先入先出法、総平均法などがあります。最終仕入原価法では、種類・品質・型などの同じ商品について、期末に最も近い時に取得したものの単価で期末在庫を評価します。

評価方法を選定していない場合や、選定した方法で評価していない場合は、個人・法人とも原則として最終仕入原価法による原価法が適用されます。前年の決算書だけでなく、届出や承認の書類、実際の計算方法も確認してください。所得税法施行令第99条・第102条、法人税法施行令第28条・第31条

単価は商品本体の請求額だけで決まるとは限りません。原則として、引取運賃や購入手数料など購入のために要した費用等も取得価額に含めます。製造したものは、材料費だけでなく労務費や製造経費等も確認します。所得税法施行令第103条、法人税法施行令第32条

4.2 低価法は個人では青色申告者に限る

低価法は、原価法で評価した価額と期末の価額を比べ、低い方を評価額とする方法です。個人事業主が選定できるのは、青色申告の承認を受けている場合です。法人に、個人のこの青色申告限定の条件をそのまま当てはめることはありません。

また、値札を下げた金額が、そのまま低価法の評価額になるとは限りません。期末の価額の算定と採用中の原価法を確認します。低価法は、後で説明する「著しい陳腐化等がある場合の特別な評価減・評価損」とは別の制度です。国税庁・所得税基本通達47-9、47-10

確認事項個人事業主(事業所得)法人(国内の普通法人)
通常の棚卸基準日12月31日事業年度終了の時
原価法最終仕入原価法、先入先出法、総平均法等から適用可能な方法を選定最終仕入原価法、先入先出法、総平均法等から適用可能な方法を選定
低価法青色申告の承認を受けている場合に選定可能選定可能。個人の青色申告限定の条件と混同しない
未選定・選定方法を使わない場合原則、最終仕入原価法による原価法原則、最終仕入原価法による原価法
開業・設立時の届出新たに事業を開始した年分の確定申告期限まで設立第1期の確定申告書提出期限まで。仮決算による中間申告をする場合はその期限まで
既存方法の変更申請変更する年の3月15日までに申請し、税務署長の承認を受ける変更する事業年度開始の日の前日までに申請し、税務署長の承認を受ける
一般的な開業・設立の概要です。新たな他種類の事業開始・事業種類の変更等にも届出があります。個別法などには選定制限があり、変更は期限内申請だけで無条件に認められるものではありません。個人の期限が土日祝日等に当たる場合は翌日となります。出典:所得税法施行令99〜102条、法人税法施行令28〜31条、国税庁A1-17・A1-21・C1-25・C1-29。

4.3 開業時の選定と、既存方法の変更は別の手続

個人が新たに事業を開始した場合は、その年分の確定申告期限までに評価方法を届け出ます。国内の普通法人の設立時は、原則として設立第1期の確定申告書提出期限までです。仮決算による中間申告をする場合は、その提出期限が届出期限になります。国税庁A1-17、C1-25

すでに適用している方法を変更する場合は、変更承認の手続が必要です。個人は変更する年の3月15日まで、法人は変更する事業年度開始の日の前日までに申請し、税務署長の承認を受けます。決算の利益を見てから、当期だけ別の方法へ変更することはできません。期限内に申請しても、変更が無条件に認められるわけではありません。国税庁A1-21、C1-29

5. 売れ残りを0円にできる?評価減・評価損の条件

売れない在庫は資金や保管場所を圧迫しますが、経営上処分を考えることと、税務上の在庫評価を下げられることは分けて考えます。長期間保有しているという理由だけで、全額を経費にしたり、在庫を一律0円にしたりはできません。

5.1 単なる値下がりと著しい陳腐化は違う

税法では、災害による著しい損傷、著しい陳腐化、それらに準ずる特別な事実がある場合の取扱いを定めています。著しい陳腐化は、経済的な環境の変化で価値が著しく減り、今後回復しないと認められる状態です。

たとえば季節商品の売れ残りでも、過去の実績等から今後通常の価額では販売できないことが明らか、という条件があります。新製品が発売された場合も、性能等が著しく異なることで、今後通常の方法では販売できなくなったかを確認します。「季節が過ぎた」「モデルが変わった」というだけで、自動的に条件を満たすわけではありません。

破損や品質変化等で通常の方法では販売できなくなった場合も、特別な事実として検討します。反対に、単なる物価変動、過剰生産、建値の変更等による値下がりだけでは、この特別事由に該当しません。選定済みの低価法による評価とは分けて判断します。国税庁・所得税基本通達47-22〜24、法人税基本通達9-1-4〜6

5.2 個人と法人では適用する仕組みが異なる

個人事業主は、所得税法施行令第104条の特別事由に該当すると、その事実が生じた年以後の評価計算で、年末の価額を取得価額とする特例を検討できます。この特例自体は、低価法のように青色申告者だけに限る制度ではありません。所得税法施行令第104条

法人は、法定の事由で価額が帳簿価額を下回り、損金経理によって帳簿価額を減額した場合に、税法上の限度内で評価損を損金に算入します。限度は、評価換え直前の帳簿価額と事業年度末の価額との差額です。決算で費用・損失として経理する「損金経理」も条件になるため、申告書だけで減額すればよいとはいえません。法人税法第33条第2項、法人税法施行令第68条

いずれも、特別事由があれば必ず全額が認められるという仕組みではありません。販売履歴、商品の状態、今後の販売可能性、期末の価額の根拠を揃えます。通常の評価方法の確認と合わせて、対象ごとに判断する必要があります。

状態・方法基本的な整理税務上の確認残しておく資料
売れていないだけの在庫在庫として残し、適用する方法で評価長期保有だけで一律0円にしない数量、取得価額、仕入・販売履歴
単なる値下がり特別な評価減・評価損の事由とは区別物価変動・過剰生産・建値変更だけでは特別事由に該当しない価格推移、採用中の評価方法
選定済みの低価法原価法の価額と期末の価額を比べ低い価額で評価個人は青色申告者に限る。法人も選定・適用の確認が必要届出・承認、原価計算、期末価額の根拠
著しい陳腐化・災害等による損傷など個人の取得価額の特例、法人の評価損を検討法定の特別事由を確認。個人は年末価額を取得価額とする特例で青色限定なし。法人は損金経理が必要で、評価換え直前の帳簿価額と期末価額の差額が限度販売不能等の理由、状態写真、販売実績、期末価額の根拠
実際に廃棄した在庫廃棄済みの商品を期末在庫から外し原価・損失へ反映廃棄した時期・事実・帳簿価額を確認。同額を二重に経費にしない日付、品目・数量、理由、写真、業者の処分記録等
低価法による通常の評価と、原価法等を用いていても特別事由がある場合の評価減・評価損は別の制度です。特別事由があっても自動的に全額や0円になるわけではありません。季節商品や新製品の発売についても、今後通常の価額・方法で販売できないなどの条件を確認します。出典:所得税法施行令99・104条、所得税基本通達47-22〜24、法人税法33条2項、法人税法施行令28・68条、法人税基本通達9-1-4〜6、所得税法37・47条、法人税法22条3項。
売れ残りは売れていないだけで0円にしない。特別な評価減や評価損は著しい陳腐化・災害等による損傷など法定条件を確認。個人の年末価額による取得価額の特例と、法人の損金経理・評価換え直前の帳簿価額と期末価額の差額限度を区別する。実際の廃棄は日付、品目、数量、理由を記録。選定済み低価法は別制度で個人は青色申告者に限る

6. 廃棄する場合は処分した事実を残す

廃棄は、商品を保有したまま評価額を下げる処理とは異なります。実際に廃棄した商品は、廃棄した時期と事実を確認して在庫から外し、その帳簿価額を原価や損失へ適切に反映します。

6.1 「廃棄予定」と「廃棄済み」を分ける

期末までに廃棄する予定を決めただけで、実物が残っているものを廃棄済みとして扱うことはできません。その期末に在庫として残っているか、別途評価減・評価損の条件を満たすかを確認します。

年末・決算後に処分した商品も、処分日を期末前にさかのぼらせて記録しません。商品の状態が期末時点でどうだったかと、いつ廃棄したかは別の事実です。処分日が翌期でも、期末時点の特別な評価事由があるかどうかは別途判断します。

6.2 数量・理由・方法を対応させて記録する

記録には、廃棄日、品名や商品コード、数量、理由、処分方法、対象の帳簿価額等を残します。業者へ委託する場合は処分記録や証明等を保存し、写真も商品一覧と対応させます。自社で処分する場合も、処分前後の写真と具体的な記録を組み合わせ、何をいつ廃棄したか説明できるようにします。

これらは実務上の記録例で、すべての廃棄に全国一律の書式や同じ証明書が必要という意味ではありません。一方、写真が1枚あるだけで税務処理が必ず認められるというものでもありません。

原価計算の中で廃棄分がすでに費用へ反映されている場合、さらに同額の廃棄損を加えると二重計上になります。過去に評価減・評価損を計上した商品は、残っている帳簿価額との対応も確認します。所得税法第37条・第47条、法人税法第22条第3項

記録記載する内容の例照合先
棚卸の基本情報基準日、実施日時、場所、担当者・確認者実施計画、外部倉庫の回答
商品ごとの数量品名・商品コード、規格、単位、実数、帳簿との差商品台帳、再カウント、入出庫記録
金額の計算適用する評価方法、単価、数量×単価、引取運賃等の付随費用仕入資料、評価方法届出、原価計算
期末前後の移動出荷・受入・返品日、契約条件、計上した期間納品・検収資料、売上・仕入帳
評価減・評価損の検討対象、原因、状態、通常販売が困難な理由、期末価額写真、販売実績、価格・処分見積り
実際の廃棄日付、品名・数量、廃棄理由、方法、帳簿価額処分前後の写真、業者の証明等
事実と計算を後から説明するための実務上の推奨例で、全国一律の法定様式・必須書類一覧ではありません。自社で処分する場合も写真だけに頼らず、対象・日付・数量・処分方法を対応させます。保存期間や電子保存の個別要件は、対象書類と申告区分等に応じ別途確認します。制度の確認先:所得税基本通達47-25、法人税基本通達5-4-1、所得税法施行令104条、法人税法33条2項。 2026年10月7日時点。個人・法人の区分と、採用している評価方法を確認してください。

7. 所得税・法人税と消費税の時期を分ける

棚卸が売上原価に影響する説明を、そのまま消費税の仕入税額控除に当てはめないようにします。所得税・法人税の原価計算と、消費税の計算では確認する仕組みが異なります。

7.1 消費税は商品が売れた時まで控除を待つとは限らない

一般課税で消費税を計算する場合、課税仕入れを行った日の属する課税期間で、仕入税額控除の要件を確認します。商品が期末在庫に残っているからといって、売れるまで必ず仕入税額控除を繰り延べるわけではありません。支払日だけでなく、商品の譲受け等の時期を確認します。国税庁・消費税法基本通達11-3-1

ただし、課税仕入れであることと、その税額を全額控除できることは同じではありません。帳簿・インボイス等の保存、課税売上げとの関係、一般課税・簡易課税等の制度を確認します。免税事業者が課税事業者になる場合や、その逆の場合には、棚卸資産に係る仕入控除税額の調整が必要になることもあります。国税庁No.6451、No.6497、No.6491

7.2 税込・税抜の単価を混在させない

棚卸表の単価、仕入帳、原価計算が、どの経理方式で作られているかを揃えます。本文の計算例はすべて税込経理ですが、実際の帳簿を合わせる際に、期首だけ税抜、仕入だけ税込といった混在を避けます。

税抜経理でも、インボイス制度により控除できない税額等の取扱いが取得価額に影響する場合があります。表示価格を機械的に税抜へ直すだけではなく、自社の制度と仕入先の区分等を確認してください。免税事業者の所得計算は税込経理によります。国税庁No.6375「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」

8. まとめ

棚卸は、期末の数量を確認し、適用する評価方法で金額を計算する決算作業です。店舗や倉庫だけでなく外部保管や委託品も確認し、売上・仕入・在庫の計上期間を揃えます。期末在庫の誤りは売上原価と利益に影響するため、帳簿と実物の差を説明できるようにしておきましょう。

売れ残りは、売れていないだけで0円にはできません。選定済みの低価法、特別な事由による評価減・評価損、実際の廃棄を分けて確認します。廃棄する場合は、対象と日付、数量、理由、方法を記録し、経費の二重計上を防ぎます。

棚卸や売れ残り在庫の評価・廃棄については、LivRoot税理士法人にご相談ください。在庫の状況と今の処理をうかがいながら、棚卸と評価・廃棄で確認したい点をその場でお伝えします。お問い合わせ

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