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【2026年版】出張旅費規程と日当を税理士が解説|非課税になる条件・金額の決め方・消費税とインボイス・社長1人の会社の注意点

更新日: 2026年10月7日 | カテゴリ: 個人事業主, 法人
出張旅費規程と日当。ルールと記録を整える

出張のたびに交通費やホテル代を精算していると、手間がかかるうえに、出張中の細かな出費は社員の持ち出しになりがちです。出張旅費規程を作って日当や宿泊費の基準を決めておけば、精算が楽になり、通常必要な範囲の日当は受け取る人にとって非課税になります。

日当は、社員だけでなく役員にも支給できます。社長1人の会社でも、規程を作って出張の実態に合った日当を支給すれば、会社の経費になり、通常必要な範囲の日当は社長の所得税がかかりません。社会保険でも、実費弁償の性格を持ち、労働の対償に当たらないものは報酬に含めません。ただし、金額が高すぎると給与として課税されます。

この記事では、2026年時点の制度にもとづいて、出張旅費と日当が非課税になる条件、出張旅費規程に書くこと、金額の決め方、消費税とインボイスの扱いを、法人と個人事業主に向けて整理します。

この記事のポイント

  • 出張の交通費・宿泊費・日当は、その旅行に通常必要な範囲であれば、受け取る人にとって非課税(所得税法9条1項4号)。超えた部分は給与として課税される
  • 「通常必要な範囲」は、役員と使用人の全体を通じて適正なバランスが保たれた基準か、同業種・同規模の会社と比べて相当かで判断される。その基準を示すのが出張旅費規程
  • 社長1人の会社でも、出張の実態に合った通常必要な範囲の日当は会社の経費になり、社長に所得税はかからない。社会保険では、実費弁償の性格を持ち労働の対償に当たらないものは報酬に含めない。役員だけ極端に高い日当は給与とされるおそれがある
  • 役員・従業員に支給する国内出張の旅費・日当は、通常必要な範囲であれば消費税の課税仕入れになり、インボイスがなくても一定の事項を記載した帳簿だけで仕入税額控除ができる。海外出張の分は原則として対象外
  • 個人事業主が自分自身に払う日当は必要経費にならない。従業員や青色事業専従者に払う日当は、業務上の出張の実態があり、通常必要な範囲であれば経費になり、受け取る人は非課税

1. 出張旅費と日当の基本

1.1 出張旅費・日当とは

出張旅費は、仕事のために勤務地を離れて移動するときにかかる費用で、主に次の3つに分かれます。

  • 交通費:電車・新幹線・飛行機・バス・タクシーなどの運賃
  • 宿泊費:ホテルや旅館の宿泊料
  • 日当:出張中の食事代や細かな雑費などにあてるため、1日あたりの定額で支給する手当

このほか、転勤するときの引越し費用や移動の交通費(赴任旅費)も、同じように扱われます。

1.2 通常必要な範囲なら非課税

所得税法では、勤務する場所を離れて職務を行うための旅行や、転任に伴う転居のための旅行について、その旅行に通常必要なものとして支給される金品は非課税とされています(所得税法9条1項4号)。

「通常必要な範囲」かどうかは、旅行の目的・目的地・期間・宿泊の要否、旅行する人の職務内容や地位から判断します。国税庁の通達(所得税基本通達9-3)は、判断にあたって次の2点を考慮するとしています。

  • その支給額が、支給する会社の役員と使用人の全体を通じて、適正なバランスが保たれている基準で計算されているか
  • その支給額が、同業種・同規模の他の会社が一般的に支給している金額と比べて相当か

通常必要な範囲を超える部分は、出張の場合は給与所得として課税されます(所得税基本通達9-4)。

項目受け取る人の所得税社会保険料支払う側の経費
交通費・宿泊費(通常必要な範囲)非課税報酬に含まれない(実費弁償)経費になる
日当(通常必要な範囲)非課税実費弁償の性格を持ち、労働の対償に当たらないものは報酬に含めない(名称ではなく実態で判断)経費になる
転勤の赴任旅費(通常必要な範囲)非課税報酬に含まれない(実費弁償)経費になる
通常必要な範囲を超える部分給与として課税(源泉徴収の対象)労働の対償に当たれば報酬に含まれる従業員分は給与として経費。役員分は損金にならないおそれ
[注]「通常必要な範囲」は、役員と使用人の全体を通じたバランスと、同業種・同規模の会社の支給額から判断します(所得税基本通達9-3)。社会保険の報酬に当たるかは所得税とは別の基準で判定するため、日当の扱いに迷う場合は年金事務所に確認してください。出典:所得税法9条1項4号、所得税基本通達9-3・9-4、日本年金機構「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」
非課税になる旅費は旅行目的・行路・期間・職務等から通常必要と認められる範囲。役員と使用人のバランス、同業種・同規模との比較で判定し、超過部分は給与として課税。

2. 出張旅費規程を作る理由

2.1 非課税の基準を説明しやすくなる

所得税法には「出張旅費規程がなければ非課税にならない」という規定はありません。ただし、通達が考慮する「役員と使用人の全体を通じて適正なバランスが保たれている基準」を説明しやすくするため、社内のルールを規程として文書にし、実際の支給もその基準に沿って行うことをおすすめします。その都度の判断で日当を払っていると、支給の基準を説明しにくくなります。

2.2 精算の手間が減る

規程で日当や宿泊費を定額にしておけば、細かな領収書を集めて1円単位で精算する手間が減ります。その額が通常必要な範囲であれば、実際にかかった額との差額を精算しない定額支給でも非課税になります。

2.3 社長1人の会社でも作れる

出張旅費規程は、従業員がいない社長1人の会社でも作れます。非課税になる旅費の範囲は、役員と使用人を区別していないためです。ただし、社長だけが使う規程であっても、金額は同業種・同規模の会社と比べて相当である必要があります。

3. 出張旅費規程に書くこと

3.1 主な項目

出張旅費規程には、一般に次のような項目を定めます。

項目定める内容記載例
目的・適用範囲規程の目的と対象者役員および従業員に適用する
出張の定義出張に当たる距離や条件片道50km以上の移動、または宿泊を伴う業務上の移動
交通費支給方法、利用できる交通機関と座席の等級実費。新幹線は普通車指定席、航空機はエコノミークラス(役員は新幹線のグリーン車も可)
宿泊費定額か、上限付きの実費か役職別の定額(表3)
日当日帰りと宿泊の別、役職別の金額役職別の定額(表3)
海外出張国内出張と分けて定める日当・宿泊費は地域別に別表で定める
申請・精算出張の申請と報告、精算の期限、必要な書類出張報告書を提出し、帰着後2週間以内に精算する
施行日・改定いつから適用するか、改定の方法2026年11月1日から施行する
[注]出張旅費規程に法令で決まった書式はありません。記載例は一例です。

3.2 日当と宿泊費の決め方

日当と宿泊費は、役職ごとに定額を定める方法があります。役職によって金額に差をつけることはできますが、役員と従業員の差が極端に大きいと、役員の分が給与とされるおそれがあります。

区分日当(日帰り)日当(宿泊を伴う出張)宿泊費(1泊)
代表取締役3,000円5,000円15,000円
取締役2,500円4,000円13,000円
従業員2,000円3,000円10,000円
[注]金額は一例で、法令や公的な基準ではありません。法令で決まった上限はないため、自社の出張の実態(行き先・頻度・物価)と、同業種・同規模の会社の水準を見て決めます。役員と従業員の差が極端に大きいと、役員の分が給与とされるおそれがあります。
出張旅費規程を作る流れ。出張の実態を把握し、同業他社と役職間のバランスから金額を決め、規程にまとめ、出張の記録を残す。役員・従業員への国内出張旅費の通常必要な分は帳簿保存の特例対象。

表の金額は一例です。法令で決まった上限はないため、自社の出張の実態(行き先・頻度・物価)と、同業種・同規模の会社の水準を見て決めます。

規程を作ったら、施行日を定め、取締役会の決議や社長の決裁など会社として正式に決めた記録を残しておきます。施行日以後の出張から規程を適用します。

4. 金額と運用の注意点

4.1 高すぎる日当は給与になる

通常必要な範囲を超える部分は、給与として扱われ、従業員の場合は源泉徴収の対象になります。社会保険では、労働の対償として報酬に当たるかを別に判定します。役員の場合は、さらに法人税の問題が生じます。役員に支払う給与は、毎月同額の定期同額給与などに当たらないと損金になりません(法人税法34条)。出張のたびに支給する過大な日当が役員給与とされると、会社の経費として認められないおそれがあります。

4.2 出張の実態を記録しておく

日当が非課税になるのは、実際に業務のための出張をした場合だけです。出張の日付・行き先・目的・面談先などを出張報告書や精算書に残しておきましょう。実際には出張していないのに日当を払うと、給与とされるだけでなく、仮装・隠蔽として重加算税の対象になることもあります。

4.3 近距離の外出への日当は実態を確認する

近距離の外出への日当も、業務の目的や必要な支出、社内の支給基準などから、通常必要な範囲かを判断します。出張の実態や必要な支出に見合わない日当は、給与として扱われます。距離や宿泊の有無など、日当を支給する対象を規程に定めておきましょう。

5. 消費税とインボイスの扱い

5.1 役員・従業員に支給する国内出張の旅費は帳簿だけで仕入税額控除ができる

国内の出張や転勤のために役員・使用人に支給する交通費・宿泊費・日当は、その旅行に通常必要な部分が消費税の課税仕入れになります。日当も対象です。

社員はインボイス発行事業者ではないため、社員からインボイスは受け取れませんが、一定の事項を記載した帳簿を保存すれば仕入税額控除ができます(出張旅費等特例)。帳簿には、通常の記載事項に加えて「出張旅費」「宿泊費」「日当」など、この特例の対象である旨を書きます。概算払だけでなく、実費精算の場合も対象です。ただし、実費精算を会社がホテルなどに直接支払ったものと同視して処理する場合は、5.2のとおり原則としてインボイスの保存が必要になるため、会社の支払い方を確認しておきましょう。

この特例の「通常必要な範囲」は所得税基本通達9-3で判定するため、所得税が非課税になる範囲と同じです。

支払い方仕入税額控除に必要なもの補足
役員・社員に支給する国内出張の交通費・宿泊費・日当(通常必要な範囲)帳簿のみ(「出張旅費」「宿泊費」「日当」など特例の対象である旨を記載)概算払・実費精算のどちらも対象(出張旅費等特例)。実費精算を会社の直接支払と同視して処理する場合はインボイスが必要
会社がホテル・航空会社などに直接支払うインボイスと帳簿原則どおりの扱い
税込3万円未満の電車・バス・船などの運賃帳簿のみ公共交通機関特例
海外出張の交通費・宿泊費・日当―原則として課税仕入れにならない
通常必要な範囲を超える部分―給与となり、課税仕入れにならない
[注]「通常必要な範囲」は所得税基本通達9-3で判定するため、所得税が非課税になる範囲と同じです。出典:国税庁No.6459、質疑応答事例「出張旅費、宿泊費、日当等に係る仕入税額控除の適用要件」、インボイスQ&A問107-2・107-3

5.2 会社が直接支払う場合はインボイスが必要

ホテル代や航空券代を会社が直接ホテルや航空会社に支払う場合は、出張旅費等特例の対象ではありません。原則どおり、インボイスと帳簿の保存が必要です。ただし、税込3万円未満の電車・バス・船などの公共交通機関の運賃は、帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます。

5.3 海外出張は原則として課税仕入れにならない

海外への出張や転勤のために支給する旅費・宿泊費・日当は、原則として課税仕入れになりません。規程では、国内出張と海外出張を分けて定めておくと、経理処理を区別しやすくなります。

6. 個人事業主と社長1人の会社の場合

6.1 個人事業主

個人事業主が自分の出張で実際に支払った交通費や宿泊費は、必要経費になります。一方、自分自身に日当を支払っても、自分のお金を移しただけなので必要経費にはなりません。

従業員や青色事業専従者に出張旅費や日当を支払う場合は、法人と同じように規程を作っておけば、通常必要な範囲は必要経費になり、受け取る人は非課税です。

6.2 社長1人の会社

社長1人の会社では、出張の多い社長に規程にもとづく日当を支給すると、次の表のように、役員報酬を同じ額だけ増やす場合と比べて有利になります。

項目規程にもとづく日当役員報酬に同じ額を上乗せ
会社の法人税経費(損金)になる定期同額給与などの要件を満たせば経費になる
社長の所得税・住民税かからない(非課税)かかる
社会保険料(会社と社長)実費弁償に当たり、報酬に含めない場合は増えない標準報酬月額が上がれば増える
消費税(会社が課税事業者で原則課税の場合)国内出張の通常必要な日当は仕入税額控除の対象対象外(給与のため)
主な条件出張の実態があり、金額が通常必要な範囲であること事業年度開始から3か月以内の改定など、定期同額給与の要件
[注]免税事業者や簡易課税の会社は、消費税の差は生じません。出典:所得税基本通達9-3、国税庁No.6459、法人税法34条 [ページ末尾の注記]2026年10月時点の法令・通達に基づきます。国税庁の所得税基本通達9-3・9-4、タックスアンサーNo.2508・No.6459、質疑応答事例、インボイスQ&A、日本年金機構の事例集によります。日当・宿泊費の金額は記載例で、実際の金額は自社の出張の実態にあわせて決めてください。
社長の日当と役員報酬を比較。実際の出張があり通常必要な日当は所得税非課税、社会保険は実費弁償として報酬に当たらない場合に増えず、会社が原則課税なら国内通常必要な日当は仕入税額控除対象。役員報酬の損金算入には定期同額給与等の要件が必要。

ただし、有利だからといって、出張の実態を超える日当を払うことはできません。通常必要な範囲を超えた部分は役員給与となり、会社の経費にならないおそれがあるうえ、社長には所得税がかかります。

7. よくある質問

7.1 日帰り出張でも日当を支給できますか

できます。日帰りと宿泊で日当の額を分けて定めることもできます。ただし、近距離でも遠距離でも、日当が通常必要な範囲かどうかは、業務の目的や出張の実態に応じて判断されます。

7.2 宿泊費は領収書がなくても定額で支給できますか

規程で宿泊費を定額と定め、その額が通常必要な範囲であれば、実際の宿泊料との差額を精算しなくても非課税です。消費税も、国内出張について社員に支給する通常必要な分は、帳簿の記載だけで仕入税額控除ができます。ただし、出張したこと自体の記録(日程・行き先・目的)は残しておきましょう。

7.3 新幹線のグリーン車や飛行機のビジネスクラスは認められますか

通常必要な範囲かどうかは、旅行する人の職務内容や地位も考慮して判断されます。役職に応じて利用できる座席の等級を規程で決め、全体のバランスがとれていれば、通常必要な範囲と判断されやすくなります。ただし、役員だけが不相応に高い等級を使う規程は、通常必要な範囲を超えると判断されるおそれがあります。

8. まとめ

出張の交通費・宿泊費・日当は、その旅行に通常必要な範囲であれば、受け取る人にとって非課税で、会社の経費になります。通常必要な範囲かどうかは、役員と使用人を通じたバランスと、同業種・同規模の会社との比較で判断されるため、その基準を出張旅費規程で示しておくことが大切です。

役員・従業員に支給する国内出張の通常必要な旅費・日当は、一定の事項を記載した帳簿だけで消費税の仕入税額控除ができます。社長1人の会社でも規程を作って日当を支給できますが、金額は出張の実態と同業他社の水準に合わせ、出張の記録を残しておきましょう。

出張旅費規程の作り方や、日当の金額の決め方については、LivRoot税理士法人にご相談ください。

出張旅費規程と日当の相談。出張の実態と役職別の金額、税金や社会保険の注意点をうかがいながら、その場でお伝えします。

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