LivRoot税理士法人 > 税務・会計・財務の学習記事 > 法人 > 【2026年版】法人の決算前にできる節税対策|お金を残す対策・使う対策と、やってはいけない節税を税理士が解説

【2026年版】法人の決算前にできる節税対策|お金を残す対策・使う対策と、やってはいけない節税を税理士が解説

更新日: 2026年10月7日 | カテゴリ: 法人
決算前の税務対策。支出と資金繰りを確認

決算が近づいて「今期は利益が出そうだ」とわかったとき、慌てて備品を買ったり、役員報酬を上げたりしていませんか。決算直前の対策には、税金を減らせても手元のお金まで減らしてしまうものや、そもそも経費として認められないものがあります。

決算前の節税は、まず経費の計上もれをなくすこと、次にお金が出ていかない対策、最後に本当に必要な支出の時期を考える対策、の順に検討するのが基本です。役員報酬の改定や設備投資の税制のように、決算直前では間に合わないものもあるため、決算月の2〜3か月前から準備を始めます。

この記事では、2026年時点の制度にもとづいて、中小法人が決算前にできる主な節税対策と、それぞれの要件、やってはいけない節税を整理します。

この記事のポイント

  • 決算前の対策は「お金が出ていかない対策」「お金は出るが将来戻る対策」「お金が出る対策」に分けて、手元資金への影響を見ながら選ぶ
  • 決算月分の給与・社会保険料などの未払計上、使わなくなった資産の除却、回収できない売掛金の貸倒れは、お金を使わずに経費を増やせる
  • 経営セーフティ共済は1年以内の前納分まで損金になるが、解約したときに益金になる「課税の繰延べ」
  • 少額減価償却資産の特例(2026年4月1日以後の取得は40万円未満)、短期前払費用、従業員への決算賞与は、要件を満たせば今期の損金になる
  • 利益調整目的の役員報酬の期中増額や、事前の届出のない役員への決算賞与は、原則として損金にならない。役員報酬は事業年度開始から3か月以内に決める

1. 決算前の節税の考え方

1.1 3つに分けて考える

決算前にできる対策は、手元のお金への影響で3つに分けられます。

区分主な対策手元のお金主な注意点
お金が出ていかない決算月分の未払費用の計上、使わなくなった資産の除却、回収できない売掛金の貸倒れ、売れない在庫の廃棄減らない(未払費用は計上時点の追加支出がないだけで、翌期の支払いは必要)期末までに債務が確定していること、事実を示す記録を残すこと
お金は出るが将来戻る経営セーフティ共済の掛金(1年以内の前納を含む)一時的に減る解約手当金は益金になる(課税の繰延べ)。40か月未満の任意解約は元本割れ
お金が出る少額減価償却資産の購入、修繕の前倒し、短期前払費用、従業員への決算賞与、経営強化税制を使った設備投資減るもともと必要な支出に限る。決算日までに事業に使い始める、通知するなどの要件がある(少額特例・経営強化税制は青色申告などの適用要件あり)
[注]中小法人の税金(法人税・地方法人税・住民税・事業税)は、利益のおおむね3割前後です。必要のない支出は、減る税金より多くのお金を減らします。
決算前の対策を手元資金への影響で3分類。未払費用・除却・貸倒れ・在庫廃棄は計上時の追加支出なし、経営セーフティ共済は一時的支出と課税繰延べ、少額資産・修繕・前払費用・従業員賞与は必要な支出に限る。

税金は利益のおおむね3割前後のため、100万円の支出で減る税金は30万円前後です。必要のない支出で利益を減らすと、税金より多くのお金が出ていきます。まずはお金が出ていかない対策から検討しましょう。

1.2 決算月の2〜3か月前から準備する

決算直前では間に合わない対策があります。役員報酬は原則として事業年度開始から3か月以内に決める必要があり、利益調整のために決算前に増やしても、原則として損金になりません。中小企業経営強化税制は経営力向上計画の認定などの手続きが必要です。決算賞与も決算日までに支給額を通知する必要があります。月次の試算表で利益の見込みを早めに確認しておくことが大切です。

2. お金が出ていかない対策

2.1 決算月分の費用をもれなく計上する

決算月に発生した費用は、支払いが翌月でも、期末までに債務が確定していれば今期の損金にできます。たとえば次のようなものです。

  • 決算月分の給与(締め日から月末までの分を含む)、外注費、水道光熱費、通信費
  • 決算月分の社会保険料の会社負担分(翌月末に納付するものでも、その月の末日が属する事業年度の損金にできます)
  • 決算月までに使用・消費した消耗品などの代金(未使用分は原則として資産に計上します。商品は、納品済みでも未販売のものは期末在庫として計上します)

請求書が翌月に届くものは計上もれが起きやすいため、決算月の取引先ごとに確認しておきます。

2.2 使わなくなった資産・回収できない売掛金・売れない在庫

お金を使わずに損金を増やせる対策には、次のようなものもあります。いずれも要件があり、事実を示す記録を残すことが大切です。

対策主な要件残しておく記録
未払費用の計上期末までに債務が確定している(債務の成立、サービスの提供などの事実の発生、金額の合理的な算定)。社会保険料の会社負担分は、対象となった月の末日が属する事業年度の損金にできる請求書、給与計算の資料
有姿除却使用をやめ、今後通常の方法で事業に使う可能性がない固定資産。帳簿価額から処分見込価額を差し引いた額を除却損にできる(解体・廃棄していなくてもよい)使用をやめた日・理由の社内記録、写真
売掛金の貸倒れ継続取引の相手の資産状況・支払能力などが悪化したため取引を停止し、取引停止時・最後の弁済時などのうち最も遅い時から1年以上たった売掛債権(担保があるものを除く)は、1円などの備忘価額を残して損金経理できる。同じ地域の売掛債権の合計が取立ての費用に満たず、督促しても支払いがない場合も同様取引停止の時期、督促の記録
在庫の廃棄売れない在庫を実際に廃棄すれば、廃棄した事業年度の損金になる廃棄業者の証明書、写真、廃棄した品目と数量
[注]売掛金の貸倒れ(備忘価額を残す方法)は、貸付金には使えません。出典:法人税基本通達2-2-12、7-7-2、9-3-2、9-6-3、国税庁No.5320

3. お金は出るが将来戻る対策

3.1 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)

経営セーフティ共済の掛金は、月5,000円から20万円まで選べ、全額が損金になります。1年以内の前納分も払った事業年度の損金にできるため、決算前に前納すれば、最大で240万円(20万円×12か月)を今期の損金にできます。掛金は総額800万円まで積み立てられます。

ただし、解約したときに受け取る解約手当金は全額が益金になるため、税金を将来に繰り延べる仕組みです。納付月数が40か月未満で任意解約すると、掛金総額を下回ります。また、2024年10月1日以後に解約した場合、その後2年間に再加入して払った掛金は損金になりません。損金にするには、確定申告書に明細書(現行様式では別表十(八)Ⅲ)と適用額明細書を添付する必要があります。

4. お金が出る対策

お金が出る対策は、もともと必要な支出を今期に行う場合に限って検討します。

4.1 少額減価償却資産の特例

青色申告書を提出する中小企業者等(常時使用する従業員が400人以下など)は、取得価額40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)の資産を、事業に使い始めた事業年度に全額損金にできます。合計で年300万円までです。決算月に買っても、決算日までに事業に使い始めていなければ対象になりません。

4.2 修繕を前倒しする

建物や設備の修理費は、元の状態に戻すための支出であれば修繕費として損金になります。一方、価値を高めたり使用期間を延ばしたりする部分は資本的支出として資産に計上し、減価償却します。どちらか明らかでない場合は、次の基準で判定できます。

順番判定基準結果
11回の修理・改良の費用が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行われている修繕費(損金)
2明らかに価値を高める、または使用期間を延ばす支出資本的支出(資産に計上して減価償却)
3明らかに元の状態に戻すための支出(通常の維持管理・原状回復)修繕費(損金)
4どちらか明らかでない金額が60万円未満、または前期末の取得価額のおおむね10%以下修繕費(損金)
5上記に当てはまらない場合(継続適用が条件)その金額の30%と前期末の取得価額の10%のいずれか少ない額を修繕費、残りを資本的支出にできる
[注]「1回の修理・改良」は、一つの計画にもとづいて同じ固定資産に行うものごとに判定します。出典:法人税基本通達7-8-1〜7-8-5
修繕費と資本的支出の判定。1回20万円未満またはおおむね3年以内周期、価値や耐久性の増加、原状回復、判定不明額60万円未満または前期末取得価額の10%以下、継続適用の30%と10%の小さい額の特例の順に確認。

4.3 短期前払費用

月極の事務所家賃や、短期前払費用として扱える保険料・賃貸借型のリース料のように、契約にもとづいて継続的にサービスを受ける費用を前払いした場合、支払った日から1年以内に受けるサービスの分であれば、支払った事業年度の損金にできます(法人税基本通達2-2-14)。対象になるかは契約ごとに判定します(法人税法上、売買とみなされるリース取引の支払いなどは対象外です)。たとえば3月決算の会社が、4月から翌年3月までの事務所家賃1年分を3月に支払えば、その全額を今期の損金にできます。

ただし、毎期継続してこの方法で処理することが条件です。今期だけ前払いして翌期から月払いに戻すような処理は認められません。また、1年を超える分の前払いや、継続的なサービスではないもの(広告の単発の出稿など)は対象になりません。

4.4 従業員への決算賞与

従業員に支払う決算賞与は、次の3つの要件をすべて満たせば、支払いが翌期でも、通知した事業年度の損金になります(法人税法施行令72条の3)。

要件内容注意点
①全員に通知支給額を各人別に、同じ時期に支給を受けるすべての従業員に、決算日までに通知する「支給日に在籍している人だけに支給する」条件をつけた通知は、ここでいう通知に当たらない
②1か月以内に支払う通知した金額を、決算日の翌日から1か月以内に、通知したすべての従業員に支払う資金繰りを確認してから通知する
③今期に経理する通知した事業年度に、未払金として費用に計上する(損金経理)決算書で費用に計上していないと認められない
[注]3つすべてを満たせば、支払いが翌期でも、通知した事業年度の損金になります。役員への決算賞与は、原則として損金になりません。出典:法人税法施行令72条の3、国税庁No.5350

役員への決算賞与は、定期同額給与にも、あらかじめ届け出た事前確定届出給与にも当たらないため、原則として損金になりません。

4.5 中小企業経営強化税制と賃上げ促進税制

青色申告の対象法人が経営力向上計画の認定を受けて、計画に記載された新品の対象設備を取得した場合は、中小企業経営強化税制で即時償却か税額控除(7%、資本金3,000万円以下の法人は10%)を選べます。税額控除には法人税額による上限があります。2027年3月31日までに取得して事業に使ったものが対象で、2026年4月1日以後に取得する器具備品・工具は1台40万円以上が条件です。計画の認定などの手続きがあるため、早めの準備が必要です。

青色申告書を提出する対象の中小企業が、国内雇用者に対する給与等の支給額を前年度より1.5%以上増やした場合は、賃上げ促進税制で増加額の15%以上を法人税額から差し引けます(控除額には法人税額による上限などがあります)。決算前に賃上げの判断をする場合は、要件と控除率を「賃上げ促進税制」の記事で確認してください。

5. やってはいけない・注意が必要な節税

決算前の対策のなかには、経費として認められないものや、税務調査で否認されやすいものがあります。

対策問題になる点結果
利益調整のために事業年度の途中で役員報酬を増やす増やした部分は定期同額給与に当たらない(臨時改定事由に当たる場合などを除く)増額分は原則として損金にならない
役員に決算賞与を払う事前確定届出給与として事前に届け出ていない損金にならない
必要のない物を買う税金は減るが、それ以上にお金が減る手元資金が減る
翌期の経費を前倒しで計上する期末までに債務が確定していない、1年を超える前払い、継続しない前払い今期の損金にならない
社長の個人的な支出を会社の経費にする業務に関係のない支出業務の経費としては認められず、役員給与として原則損金不算入となる可能性がある。社長の所得税・源泉徴収にも影響する
架空の経費や請求書の日付の操作事実を隠したり偽ったりする行為重加算税の対象。スキャナ保存・電子取引データなどの記録に関連する隠蔽・仮装は、割合が10ポイント加重される場合がある
[注]交際費は、資本金1億円以下などの法人なら年800万円まで損金にできます。得意先などとの1人あたり1万円以下の飲食費は、一定の書類を保存すれば交際費から除かれます。出典:国税庁No.5265、法人税法34条、法人税法施行令72条の3 [ページ末尾の注記]2026年10月時点の法令・通達(令和8年度税制改正を含む)に基づきます。国税庁の法人税基本通達、タックスアンサー、「令和8年度 法人税関係法令の改正の概要」によります。実際の適用は、会社の状況にあわせて確認してください。

6. 決算前のスケジュール

3月決算の会社を例にすると、次のような流れで準備します。

  • 12月〜1月:月次の試算表で利益を見込む。設備投資や賃上げの方針を決め、経営強化税制を使う場合は計画の準備を始める
  • 2月:必要な設備・修繕・前払いの時期を決める。経営セーフティ共済の前納額を決める
  • 3月(決算月):設備を事業に使い始める。決算賞与の支給額を従業員に通知する。不要な資産の除却や在庫の廃棄を行い、記録を残す
  • 4月:決算月分の未払費用を計上する。決算賞与を支給する(決算日の翌日から1か月以内)
  • 5月:確定申告と納付(決算日の翌日から2か月以内。期限が土日・祝日等の場合は翌開庁日)
3月決算会社の準備例。12月から利益を見込み、2月に設備・修繕・共済前納を決め、3月に使用開始と賞与通知、4月に未払費用計上と賞与支払、5月に申告納付。延長特例では納付期限も延長され、利子税を避けるには延長前の見込納付。

法人税の申告期限の延長の特例を受けている会社は、納付期限も延長されます。ただし、延長期間には原則として利子税がかかるため、これを避けるには、延長前の期限(原則、決算日の翌日から2か月以内)までに見込税額を納付します。

7. よくある質問

7.1 赤字の年も決算前の対策は必要ですか

赤字の年に無理に経費を増やす必要はありません。青色申告の法人は、赤字(欠損金)を翌期以後10年間繰り越して、黒字の年の所得から差し引けます。むしろ、経営セーフティ共済を解約する、使っていない資産の売却益を出すなど、益金を赤字の年に合わせる考え方もあります。

7.2 利益が出そうなので、役員報酬を今から上げてもよいですか

事業年度の途中で役員報酬を増やしても、増やした部分は定期同額給与に当たらず、原則として損金になりません。役員報酬は事業年度開始から3か月以内に、その年の利益の見込みを踏まえて決めます。

7.3 決算前に車を買うのは節税になりますか

決算月に買っても、使い始めた月から決算月までの月割でしか償却できません。中古車は耐用年数が短くなるため初年度の償却額が大きくなりますが、お金も出ていきます。購入とリースの比較は「社用車は購入とリースどちらが得?」の記事で整理しています。

8. まとめ

決算前の節税は、決算月分の未払費用の計上や、不要な資産の除却、回収できない売掛金の貸倒れなど、お金が出ていかない対策から始めるのが基本です。経営セーフティ共済は課税の繰延べで、少額減価償却資産の特例、修繕、短期前払費用、従業員への決算賞与は、本当に必要な支出の時期を今期に合わせる対策です。

利益調整目的の役員報酬の期中増額や、事前の届出などの要件を満たさない役員賞与は原則として損金にならず、必要のない支出は税金以上にお金を減らします。決算月の2〜3か月前には利益の見込みを確認し、手元資金とのバランスを見ながら対策を選びましょう。

決算前の対策の選び方や、利益の見込みにもとづく納税額の試算については、LivRoot税理士法人にご相談ください。

決算前の対策と納税額の相談。利益の見込みと手元資金をうかがいながら、使える対策と注意点をその場でお伝えします。

この記事のテーマに関連するサービス

TAX AFFAIRS 税務業務 税務申告や節税対策はもちろん、日々の会計処理や税制改正への対応まで、税理士が経営を税務面から支えます。私たちが大切にしているのは、決算前に慌… サービスの詳細を見る → ACCOUNTING DX SUPPORT 経理業務DX化支援 紙の領収書、手入力の仕訳、月末にまとめて行う経理作業。こうした手間を、クラウド会計ソフトとデータ連携で減らすのが経理業務のDX化です。ソフト… サービスの詳細を見る →

この記事を読んだ方に

2026年度版 中小企業の節税ハンドブック
無料PDF・28ページ 2026年度版 中小企業の節税ハンドブック 決算までに打てる手を、期限と金額で並べた1冊です。お名前とメールアドレスの入力だけでダウンロードできます。 無料でダウンロードする

記事の内容を自社に当てはめて確認したい方は、30分の無料相談をご利用ください。ご契約をお願いする場ではありません。

無料相談を申し込む(30分・オンライン可)
無料相談を申し込む30分・オンライン可・契約不要 1分診断