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【徹底比較】マイホームの買い換え時は「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」どっちがお得?

更新日: 2026年9月26日 | カテゴリ: 個人事業主

マイホームの買い換えを検討中の方にとって、新居の「住宅ローン控除」と、旧居の売却益にかかる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」は、どちらも大きな節税メリットのある制度です。ところが、この2つは原則として併用できないため、どちらを選ぶかで納税額が数百万円単位で変わることがあります。この記事では、それぞれの制度内容、併用できない期間のルール、具体的なシミュレーションを通して、どちらがより大きな節税効果を期待できるかを徹底比較します。あわせて、売却で損失が出た場合に使える制度や、判断の目安も解説しますので、賢くマイホームの買い換えを進めるための参考にしてください。

1. 「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」の基本

マイホームの買い換えを検討する際、税金の優遇措置は重要なポイントです。特に「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」は、大きな節税効果が期待できる制度です。この章では、それぞれの制度の概要と違いを解説します。

1.1 「住宅ローン控除」とは?

「住宅ローン控除」(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合に、一定期間、年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税(控除しきれない分は翌年度の住民税の一部)から差し引ける制度です。控除期間は新築住宅・買取再販住宅で13年間、既存住宅で13年または10年間です。所得税から直接差し引かれる「税額控除」のため、節税効果は非常に大きくなります。

住宅ローン控除を受けるためには、住宅の床面積が40㎡以上であること(合計所得金額1,000万円超の方は50㎡以上)、取得から6か月以内に入居すること、控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること、新築住宅は省エネ基準に適合していることなど、いくつかの要件を満たす必要があります。控除額の上限(借入限度額)は住宅の省エネ性能や世帯の状況によって異なり、制度は2030年(令和12年)末の入居分まで延長されています。詳しくは別記事「住宅ローン控除で賢く節税!最大限のメリットを受けるための完全ガイド」で解説していますので、あわせてご参照ください。

1.2 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは?

マイホームを売却して売却益が出た場合、譲渡所得(=売却価額-(取得費+譲渡費用))に対して所得税・住民税がかかります。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」とは、この譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。マイホームの売却益が3,000万円以下であれば、この控除によって譲渡所得にかかる税金は0になります。

この特例を利用するためには、自分が住んでいる家屋(住まなくなった場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却)であること、売った年の前年・前々年にこの特例や譲渡損失の特例を受けていないこと、配偶者や親子など特別の関係がある人への売却でないことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。詳しくは国税庁のタックスアンサーNo.3302「マイホームを売ったときの特例」をご確認ください。

なお、売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるマイホームの場合は、3,000万円の特別控除に加えて「軽減税率の特例」(国税庁タックスアンサーNo.3305)も重ねて適用でき、控除後の譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が通常の20.315%から14.21%に下がります。

項目住宅ローン控除3,000万円の特別控除
対象新居(住宅ローンで取得したマイホーム)旧居(売却したマイホームの売却益)
節税の仕組み年末ローン残高×0.7%を所得税・住民税から控除(税額控除)譲渡所得から最大3,000万円を控除(所得控除)
効果が出る時期入居年から最長13年間、毎年売却した年の確定申告で一度に
節税額の目安年最大35万円(認定住宅・子育て世帯等)×控除期間譲渡所得×税率(最大で約426万〜609万円)
主な要件床面積40㎡以上、合計所得2,000万円以下、返済期間10年以上、新築は省エネ基準適合自分が住んでいた家屋、前年・前々年に同じ特例を受けていない、親族等への売却でない
両者の関係新居の入居年とその前2年・後3年の6年間は併用不可(譲渡損失の特例とは併用可)
根拠国税庁No.1211-1国税庁No.3302(軽減税率はNo.3305)

2. 「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」の適用関係

2.1 併用はできない

「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」は、原則として併用できません。具体的には、新居に入居した年とその前2年・後3年の合計6年間のいずれかの年に、旧居の売却について3,000万円の特別控除(または軽減税率の特例、買換えの特例)を受けると、新居の住宅ローン控除は受けられなくなります。

注意したいのは、順番を問わず制限がかかる点です。先に旧居を売って3,000万円の特別控除を使い、その後2年以内に新居に入居した場合は、新居の住宅ローン控除は最初から受けられません。逆に、先に新居に入居して住宅ローン控除を受け始め、入居後3年以内に旧居を売って3,000万円の特別控除を使った場合は、すでに受けた住宅ローン控除を取り消して修正申告をする必要があります。マイホームを買い換える際は、旧居の売却益に対して3,000万円の特別控除を受けるか、新居について住宅ローン控除を受けるかを、事前にどちらか一方に決めておく必要があります。

2.2 売却で損失が出た場合は併用できる

一方で、旧居を売却して損失(譲渡損失)が出た場合は話が変わります。所有期間5年超のマイホームを売って損失が出たときに、その損失を給与所得などの他の所得と相殺し、相殺しきれない分を翌年以後3年間繰り越せる「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(国税庁タックスアンサーNo.3370)は、住宅ローン控除と併用できます。売却益ではなく売却損が出る見込みの方は、3,000万円の特別控除を検討する必要はなく、住宅ローン控除と譲渡損失の特例の両方を使うことができます。

2.3 どちらを選ぶべきか

結論として、売却益がある場合にどちらがお得になるかはケースバイケースです。判断のポイントは、「3,000万円の特別控除によって減る譲渡所得税の額」と「住宅ローン控除で控除期間全体を通じて受けられる控除額の見込み」を比較することです。次の章のシミュレーションを参考に、ご自身の状況に照らして慎重に判断しましょう。ご自身での判断が難しい場合は、税理士などの専門家に相談することも有効です。

3. シミュレーション

ここでは、以下のケースを想定してシミュレーションを行い、それぞれの節税額を比較してみましょう。

区分項目金額・内容
旧居の売却売却する物件20年前に購入したマンション(所有期間10年超)
売却価額6,000万円
取得費2,500万円(建物部分の減価償却費相当額を差し引いた後の金額)
譲渡費用200万円(仲介手数料など)
新居の購入購入する物件新築一戸建て(認定長期優良住宅)8,500万円
世帯子育て世帯・若者夫婦世帯に該当(借入限度額5,000万円)
住宅ローン借入額8,000万円(13年後まで年末残高は5,000万円以上)
所得税額毎年35万円の控除を使い切れる所得税額があるものとする

なお、取得費のうち建物部分は、購入時の価額から減価償却費相当額を差し引いた金額で計算する必要があります。本シミュレーションの取得費2,500万円は、減価償却費相当額を差し引いた後の金額として計算しています。

3.1 ケース1:住宅ローン控除の適用を受けた場合

3.1.1 住宅ローン控除額の計算

新築の認定住宅に子育て世帯・若者夫婦世帯が入居する場合、借入限度額は5,000万円です。年末のローン残高が13年間を通じて5,000万円以上あるため、控除額は毎年、借入限度額5,000万円 × 0.7% = 35万円となります。

控除対象となる年末残高(借入限度額)控除率年間の控除額控除期間13年間の最大控除額
5,000万円0.7%35万円13年間455万円(35万円×13年)

このケースでは、住宅ローン控除によって13年間で最大455万円の所得税・住民税が控除されます。

3.1.2 メリット

長期間にわたって安定した税額控除を受けられる点がメリットです。また、旧居の売却益にかかる税金とは無関係に、新居のローン残高を基準に控除額が決まります。

3.1.3 デメリット

住宅ローン控除は税額控除のため、その年に納めるべき所得税(と住民税の一部。住民税からの控除は最高97,500円)が控除額の上限になります。このケースで毎年35万円を使い切るには、所得税額が年間およそ25万円以上必要です。所得税額が少ない年は控除を使い切れず、13年間の合計は455万円に届きません。また、控除額は年末のローン残高に依存するため、繰上返済で残高を減らすと控除額も減ります。

3.2 ケース2:3,000万円の特別控除を受けた場合

3.2.1 譲渡所得税額の計算

譲渡所得は「売却価額-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。本ケースでは、売却価額6,000万円-(取得費2,500万円+譲渡費用200万円)=譲渡所得3,300万円です。譲渡所得にかかる税率は、所有期間によって次のとおり異なります。

区分(売った年の1月1日時点の所有期間)税率備考
短期譲渡所得(5年以下)39.63%所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%
長期譲渡所得(5年超)20.315%所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%
長期譲渡所得のうち所有期間10年超のマイホーム(軽減税率の特例)6,000万円以下の部分:14.21%
6,000万円超の部分:20.315%
所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%。3,000万円の特別控除と重ねて適用できる(国税庁No.3305)

本ケースでは所有期間が20年で10年を超えており、課税される譲渡所得も6,000万円以下ですので、軽減税率の特例により適用税率は14.21%となります。

  • 特別控除を適用した場合の税額:(譲渡所得3,300万円-特別控除3,000万円)× 14.21% = 426,300円
  • 特別控除を適用しない場合の税額:譲渡所得3,300万円 × 14.21% = 4,689,300円

したがって、3,000万円の特別控除による節税額は約426万円(4,263,000円)です。

3.2.2 メリット

売却した年の確定申告で一度に大きな節税効果が得られる点がメリットです。所得税額の多寡や住宅ローンの残高に左右されず、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金は0になります。

3.2.3 デメリット

売却益が小さい場合は節税額も小さくなります。たとえば譲渡所得が500万円であれば、控除によって減る税額は71万円程度(軽減税率の場合)にとどまり、住宅ローン控除の方が有利になりやすくなります。また、この特例を使うと新居の住宅ローン控除が最長13年間まったく受けられなくなるため、その影響も含めて比較する必要があります。

3.3 ケースごとの比較

本ケースでは、住宅ローン控除を適用した場合の節税額は最大455万円、3,000万円の特別控除を利用した場合の節税額は約426万円で、金額だけを見ると住宅ローン控除の方がわずかに有利です。ただし、住宅ローン控除の455万円は「13年間毎年35万円を使い切れるだけの所得税額があること」「ローン残高が5,000万円を下回らないこと」が前提であり、条件が崩れれば逆転します。一方、3,000万円の特別控除の426万円は売却した年に確定します。

譲渡所得の金額によって3,000万円の特別控除の節税額がどう変わるかをまとめると、次のとおりです。

旧居の譲渡所得節税額(所有期間10年超・軽減税率14.21%)節税額(所有期間5年超10年以下・20.315%)参考:住宅ローン控除の最大額(ケース1)
500万円約71万円約102万円455万円(13年間)
1,000万円約142万円約203万円
2,000万円約284万円約406万円
3,000万円以上約426万円(上限)約609万円(上限)

譲渡所得が3,000万円以上のケースでは、3,000万円の特別控除の節税額は上限(軽減税率なら約426万円、通常税率なら約609万円)に達します。逆に、譲渡所得が1,000万円程度までなら節税額は142万円から203万円程度なので、住宅ローン控除を十分に使える方であれば住宅ローン控除を選んだ方が有利になる可能性が高いといえます。

上記はあくまで一般的なシミュレーションです。実際の控除額や税額は、所得税額、ローン残高の推移、取得費の計算などによって異なります。より正確な判断のためには、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

4. 判断の目安

これまでの内容を踏まえ、どちらの制度を選ぶべきかの目安を整理します。

状況有利になりやすい選択理由
旧居の売却で損失が出る住宅ローン控除+譲渡損失の特例譲渡損失の損益通算・繰越控除は住宅ローン控除と併用できる。3,000万円控除は不要
売却益が小さい(1,000万円程度まで)住宅ローン控除3,000万円控除の節税額は100万〜200万円程度にとどまり、13年間の住宅ローン控除の方が大きくなりやすい
売却益が大きい(3,000万円前後以上)3,000万円の特別控除節税額が上限(約426万〜609万円)に達し、売却年に確定する
所得税額が少ない(年25万円未満など)3,000万円の特別控除住宅ローン控除は納税額が上限のため、控除を使い切れない
新居のローン残高が少ない・早期に完済する予定3,000万円の特別控除住宅ローン控除の額は年末残高に比例して小さくなる
新居が住宅ローン控除の要件を満たさない3,000万円の特別控除省エネ基準を満たさない新築、床面積40㎡未満、返済期間10年未満などは住宅ローン控除の対象外

なお、新居が住宅ローン控除の要件を満たさない場合(省エネ基準を満たさない新築住宅、床面積が40㎡未満、ローンの返済期間が10年未満など)は、そもそも住宅ローン控除を受けられないため、迷わず3,000万円の特別控除を選ぶことになります。買い換え前に、新居が住宅ローン控除の対象になるかを確認しておきましょう。

5. よくある質問

5.1 住宅ローン控除と3,000万円控除は両方使えますか?

原則として併用はできません。新居に入居した年とその前2年・後3年の合計6年間のいずれかの年に、旧居の売却について3,000万円の特別控除などを受けると、新居の住宅ローン控除は受けられなくなるとされています。

5.2 新居に入居した後に旧居を売るときの注意点は?

先に新居へ入居して住宅ローン控除を受け始め、入居後3年以内に旧居を売って3,000万円の特別控除を使った場合は、すでに受けた住宅ローン控除を取り消して修正申告をする必要があるとされています。順番を問わず制限がかかる点に注意が必要です。

5.3 旧居の売却で損が出た場合はどうなりますか?

所有期間5年超のマイホームの譲渡損失について損益通算と繰越控除を受ける特例は、住宅ローン控除と併用できます。売却損が出る見込みであれば3,000万円の特別控除を検討する必要はなく、両方を使えるとされています。

6. まとめ

マイホームの買い換えに際し、住宅ローン控除と3,000万円の特別控除のどちらがお得かは、個々の状況によって異なります。住宅ローン控除は、新居のローン残高と所得税額に応じて13年間にわたって控除を受けられる制度で、旧居の売却益が小さい場合や、所得税額が十分にある場合に有利になりやすい傾向があります。一方、3,000万円の特別控除は、旧居の売却益にかかる税金を売却した年に一度に減らせる制度で、売却益が大きい場合や、新居が住宅ローン控除の対象にならない場合に有利です。

2つの制度は新居の入居年とその前2年・後3年の6年間は併用できないため、買い換えの計画段階でどちらを使うかを決めておくことが重要です。売却で損失が出る場合は、譲渡損失の特例と住宅ローン控除を併用できることも覚えておきましょう。どちらの制度も要件が細かく定められていますので、判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談し、国税庁のウェブサイトで最新の情報を確認するようにしてください。なお、マイホームを所有している間は毎年固定資産税がかかります。売却や買い換えの年は申告の内容が複雑になるため、継続して相談できる顧問税理士がいると判断しやすくなります。

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