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【徹底比較】マイホームの買い換え時は「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」どっちがお得?

更新日: 2026年10月7日 | カテゴリ: 個人事業主
住宅ローン控除と3,000万円特別控除の比較

マイホームの買い換えを検討中の方にとって、新居の「住宅ローン控除」と、旧居の売却益にかかる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」は、どちらも大きな節税メリットのある制度です。ところが、この2つは原則として併用できないため、どちらを選ぶかで納税額が数百万円単位で変わることがあります。この記事では、それぞれの制度内容、併用できない期間のルール、具体的なシミュレーションを通して、どちらがより大きな節税効果を期待できるかを徹底比較します。あわせて、売却で損失が出た場合に使える制度や、判断の目安も解説しますので、賢くマイホームの買い換えを進めるための参考にしてください。

1. 「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」の基本

マイホームの買い換えを検討する際、税金の優遇措置は重要なポイントです。特に「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」は、大きな節税効果が期待できる制度です。この章では、それぞれの制度の概要と違いを解説します。

1.1 「住宅ローン控除」とは?

「住宅ローン控除」(正式名称は「住宅借入金等特別控除」)とは、住宅ローンでマイホームを取得した場合に、一定の年末残高に0.7%を掛けた額を所得税から差し引く制度です。控除しきれない場合は、所定の上限内で翌年度の住民税からも控除されます。控除期間は住宅区分・入居年によって13年または10年などとなり、対象外となる住宅もあります。

主な要件は、原則として床面積50㎡以上、取得等から6か月以内の入居、控除を受ける年の合計所得金額2,000万円以下、償還期間10年以上の住宅ローンなどです。一定の住宅で合計所得金額1,000万円以下の場合には40㎡以上50㎡未満の特例がありますが、2026年以後の入居で子育て世帯等の借入限度額上乗せを使う場合は50㎡以上が必要です。新築住宅の省エネ要件、借入限度額等は住宅区分・入居年によって異なります。制度は2030年末の入居分まで延長されています。詳しくは住宅ローン控除の記事もご参照ください。

1.2 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは?

マイホームを売却して売却益が出た場合、譲渡所得(=売却価額-(取得費+譲渡費用))に対して所得税・住民税がかかります。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」とは、この譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。マイホームの売却益が3,000万円以下であれば、この控除によって譲渡所得にかかる税金は0になります。

この特例を利用するためには、自分が住んでいる家屋(住まなくなった場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却)であること、売った年の前年・前々年にこの特例や譲渡損失の特例を受けていないこと、配偶者や親子など特別の関係がある人への売却でないことなど、いくつかの要件を満たす必要があります。詳しくは国税庁のタックスアンサーNo.3302「マイホームを売ったときの特例」をご確認ください。

なお、売った年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるマイホームの場合は、3,000万円の特別控除に加えて「軽減税率の特例」(国税庁タックスアンサーNo.3305)も重ねて適用でき、控除後の譲渡所得6,000万円以下の部分の税率が通常の20.315%から14.21%に下がります。

項目住宅ローン控除3,000万円の特別控除
対象新居(住宅ローンで取得したマイホーム)旧居(売却したマイホームの売却益)
節税の仕組み年末ローン残高×0.7%を所得税・住民税から控除(税額控除)譲渡所得から最大3,000万円を差し引く(特別控除)
効果が出る時期入居年から最長13年間、毎年売却した年の確定申告で一度に
節税額の目安年最大35万円(認定住宅・子育て世帯等)×控除期間通常課税の売却税額と、特別控除・軽減税率適用後の税額との差
主な要件原則床面積50㎡以上(一定の場合40㎡以上)、合計所得2,000万円以下、返済期間10年以上。住宅・入居年別の要件あり自分が住んでいた家屋、前年・前々年に同じ特例を受けていない、親族等への売却でない
両者の関係新居の入居年とその前2年・後3年の6年間は併用不可(譲渡損失の特例とは要件を満たす場合に併用可)
根拠国税庁No.1211-1国税庁No.3302(軽減税率はNo.3305)

2. 「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」の適用関係

2.1 併用はできない

住宅ローン控除と売却特例を併用できない6年間

「住宅ローン控除」と「3,000万円の特別控除」は、原則として併用できません。具体的には、新居に入居した年とその前2年・後3年の合計6年間のいずれかの年に、旧居の売却について3,000万円の特別控除(または軽減税率の特例、買換えの特例)を受けると、新居の住宅ローン控除は受けられなくなります。

注意したいのは、順番を問わず制限がかかる点です。先に旧居を売って3,000万円の特別控除を使い、売却した年かその翌年・翌々年に新居に入居した場合は、新居の住宅ローン控除は最初から受けられません。逆に、先に新居に入居して住宅ローン控除を受け始め、入居した年の翌年から3年目までの年に旧居を売って3,000万円の特別控除を使った場合は、すでに受けた住宅ローン控除を取り消して修正申告をする必要があります。マイホームを買い換える際は、旧居の売却益に対して3,000万円の特別控除を受けるか、新居について住宅ローン控除を受けるかを、事前にどちらか一方に決めておく必要があります。

2.2 売却で損失が出た場合は併用できる

旧居の売却で損失が出た場合は、一定の要件を満たせば、譲渡損失の損益通算・翌年以後3年間の繰越控除と住宅ローン控除を併用できます。買換えを伴う制度は国税庁No.3370「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」です(2027年12月31日までの譲渡が対象)。売った年の1月1日時点の所有期間5年超だけでなく、新居の取得・入居時期、床面積50㎡以上、償還期間10年以上の住宅ローンなどの要件があります。繰越控除には各年のローン・所得要件等もあり、売却損があるだけで自動的に使える制度ではありません。

2.3 どちらを選ぶべきか

どちらが有利かは、旧居の売却税額と、新居で実際に受けられる住宅ローン控除の合計効果で比較します。所定の併用制限期間内に住宅ローン控除を選ぶ場合は、3,000万円特別控除だけでなく10年超所有の軽減税率も使えません。このため、住宅ローン控除側の売却税額には通常の長期譲渡税率を反映する必要があります。

3. シミュレーション

以下の共通条件で比較します。旧居は新居への入居の前年(2025年)に売却し、新居には2026年に入居するものとします。旧居の家屋・敷地は売却年の1月1日時点でともに所有期間10年超で、売却特例の他の要件も満たします。新居の床面積は50㎡以上です。入居後の各年に所得要件等を満たし、年末残高5,000万円以上と年35万円の控除を使い切れる税額があるものとします。同年売却では譲渡所得が住宅ローン控除の所得要件に影響するため、この設例では売却を入居前年としています。

区分項目金額・内容
旧居の売却売却する物件20年前に購入したマンション(所有期間10年超)
売却価額6,000万円
取得費2,500万円(建物部分の減価償却費相当額を差し引いた後の金額)
譲渡費用200万円(仲介手数料など)
新居の購入購入する物件新築一戸建て(認定長期優良住宅)8,500万円
世帯子育て世帯・若者夫婦世帯に該当(借入限度額5,000万円)
住宅ローン借入額8,000万円(13年後まで年末残高は5,000万円以上)
所得税額毎年35万円の控除を使い切れる所得税額があるものとする

なお、取得費のうち建物部分は、購入時の価額から減価償却費相当額を差し引いた金額で計算する必要があります。本シミュレーションの取得費2,500万円は、減価償却費相当額を差し引いた後の金額として計算しています。

3.1 ケース1:住宅ローン控除の適用を受けた場合

3.1.1 住宅ローン控除額の計算

新築の認定住宅に子育て世帯・若者夫婦世帯が入居する場合、借入限度額は5,000万円です。年末のローン残高が13年間を通じて5,000万円以上あるため、控除額は毎年、借入限度額5,000万円 × 0.7% = 35万円となります。

控除対象となる年末残高(借入限度額)控除率年間の控除額控除期間13年間の最大控除額
5,000万円0.7%35万円13年間455万円(35万円×13年)

このケースでは、住宅ローン控除によって13年間で最大455万円の所得税・住民税が控除されます。

3.1.2 メリット

控除対象となる年末残高や住宅区分に応じて、各年の税額控除を受けられます。ただし、売却特例との併用制限があるため、新居だけの控除額ではなく旧居の売却税額も合わせて比較します。

3.1.3 デメリット

各年の住宅ローン控除は、控除できる所得税額と所定の上限内の住民税額に制限されます。住民税からの控除にも課税総所得金額等に応じた上限があり、所得税額だけで使い切れるかを判断できません。毎年35万円を控除できない年や、繰上返済等で対象残高が5,000万円を下回る年があると、13年間の合計は455万円に届きません。

3.2 ケース2:3,000万円の特別控除を受けた場合

3.2.1 譲渡所得税額の計算

譲渡所得は「売却価額-(取得費+譲渡費用)」で計算されます。本ケースでは、売却価額6,000万円-(取得費2,500万円+譲渡費用200万円)=譲渡所得3,300万円です。譲渡所得にかかる税率は、所有期間によって次のとおり異なります。

区分(売った年の1月1日時点の所有期間)税率備考
短期譲渡所得(5年以下)39.63%所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%
長期譲渡所得(5年超)20.315%所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%
長期譲渡所得のうち所有期間10年超のマイホーム(軽減税率の特例)6,000万円以下の部分:14.21%
6,000万円超の部分:20.315%
所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%。3,000万円の特別控除と重ねて適用できる(国税庁No.3305)

3,000万円特別控除と軽減税率を選ぶ場合は、控除後の課税所得300万円に14.21%を掛けます。住宅ローン控除を選ぶ場合は、併用制限により両方の売却特例を使わず、3,300万円に通常の長期譲渡税率20.315%を掛けます。

選択売却税額の計算
住宅ローン控除3,300万円 × 20.315% = 6,703,950円
3,000万円特別控除+軽減税率(3,300万円-3,000万円)×14.21% = 426,300円

売却特例を使う場合と住宅ローン控除を選ぶ場合の売却税額の差は、6,703,950円-426,300円=6,277,650円です。この税額差と、住宅ローン控除の見込額4,550,000円を比較します。

3.2.2 メリット

売却した年の確定申告で一度に大きな節税効果が得られる点がメリットです。所得税額の多寡や住宅ローンの残高に左右されず、譲渡所得が3,000万円以下であれば税金は0になります。

3.2.3 デメリット

売却益が小さい場合は、売却特例による税額差も小さくなります。例えば譲渡所得500万円で通常の長期譲渡税率20.315%を使う場合の税額は1,015,750円で、3,000万円控除を使えば0円になります。この税額差と住宅ローン控除の実際の見込額を比較します。売却特例を選ぶと、併用制限期間内の新居の住宅ローン控除を受けられません。

3.3 ケースごとの比較

住宅ローン控除と3,000万円控除・軽減税率の共通条件による税額比較
比較項目住宅ローン控除を選択3,000万円特別控除+軽減税率を選択
旧居売却時の課税所得3,300万円300万円
売却時の税率20.315%14.21%
売却税額6,703,950円426,300円
新居の住宅ローン控除最大4,550,000円0円
売却税額から住宅ローン控除を引いた額2,153,950円426,300円
住宅ローン控除を13年間使い切る仮定の名目額比較。金利・時間価値・他の税制への影響は考慮していません。

この設例では、3,000万円特別控除と軽減税率を選ぶ方が、名目額で1,727,650円有利です。住宅ローン控除を13年間使い切れる場合でも、この結論となります。実際の各年の所得・税額、ローン残高、売却・入居時期によって結果は変わります。

譲渡所得別に、通常の長期譲渡税率20.315%による売却税額と、3,000万円特別控除・軽減税率を使う場合の売却税額を比べると、次のようになります。家屋・敷地の所有期間10年超で各特例の要件を満たす前提です。

旧居の譲渡所得通常課税の税額3,000万円控除+軽減税率適用後売却特例による税額差
500万円1,015,750円0円1,015,750円
1,000万円2,031,500円0円2,031,500円
2,000万円4,063,000円0円4,063,000円
3,000万円6,094,500円0円6,094,500円
3,300万円6,703,950円426,300円6,277,650円

この表は売却時の税額比較です。住宅ローン控除との選択では、売却特例による税額差と住宅ローン控除の実際の見込額を比べます。3,000万円控除の効果と軽減税率の効果を混同せず、所有期間、軽減税率の可否、入居年の所得要件も確認してください。

上記はあくまで一般的なシミュレーションです。実際の控除額や税額は、所得税額、ローン残高の推移、取得費の計算などによって異なります。より正確な判断のためには、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

4. 判断の目安

住宅の買い換えで税制を選ぶ判断の手順

これまでの内容を踏まえ、どちらの制度を選ぶべきかの目安を整理します。

状況比較・確認のポイント
旧居の売却で損失が出る譲渡損失の特例と住宅ローン控除のそれぞれの要件を確認する
売却益が小さい売却特例による税額差と、住宅ローン控除の実際の見込額を比べる
売却益が大きい3,000万円控除に加え、軽減税率の可否も含めて売却税額を試算する
各年の所得税額が少ない住民税からの控除上限も確認し、住宅ローン控除を使い切れるか試算する
ローン残高が少ない・早期完済予定残高の推移を反映した住宅ローン控除の合計額を計算する
新居が住宅ローン控除の対象外売却特例の要件を確認する。新居の床面積・住宅区分・入居年・返済期間等で判定する

新居が住宅ローン控除の要件を満たさない場合は、旧居の売却特例の利用を検討します。床面積、住宅区分・省エネ性能、建築・入居時期、返済期間などで適否を確認し、売却特例についても別途要件を満たす必要があります。

5. よくある質問

5.1 住宅ローン控除と3,000万円控除は両方使えますか?

原則として併用はできません。新居に入居した年とその前2年・後3年の合計6年間のいずれかの年に、旧居の売却について3,000万円の特別控除などを受けると、新居の住宅ローン控除は受けられなくなるとされています。

5.2 新居に入居した後に旧居を売るときの注意点は?

先に新居へ入居して住宅ローン控除を受け始め、入居した年の翌年から3年目までの年に旧居を売って3,000万円の特別控除を使った場合は、すでに受けた住宅ローン控除を取り消して修正申告をする必要があるとされています。順番を問わず制限がかかる点に注意が必要です。

5.3 旧居の売却で損が出た場合はどうなりますか?

譲渡損失の特例は、買換えの有無や住宅ローン等の要件を満たす場合に住宅ローン控除と併用できます。売った年の1月1日時点の所有期間5年超に加え、取得・入居時期、床面積、ローン、所得、申告など各制度の要件を確認してください。売却損が出るだけで自動的に併用できるわけではありません。

6. まとめ

住宅の買い換えと税金のご相談はLivRoot税理士法人へ

住宅ローン控除と3,000万円特別控除の選択では、新居の控除額だけでなく旧居の売却税額も合わせて比べます。住宅ローン控除を選ぶ場合、所定の期間内は3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率を使えない点が重要です。本設例では、住宅ローン控除を最大455万円使えるとしても、3,000万円特別控除と軽減税率を選ぶ方が名目額で1,727,650円有利となりました。

2つの制度は新居の入居年とその前2年・後3年の6年間は併用できないため、買い換えの計画段階でどちらを使うかを決めておくことが重要です。売却で損失が出る場合は、各制度の要件を満たせば譲渡損失の特例と住宅ローン控除を併用できる場合があります。どちらの制度も要件が細かく定められていますので、判断に迷う場合は税理士などの専門家に相談し、国税庁のウェブサイトで最新の情報を確認するようにしてください。なお、マイホームを所有している間は毎年固定資産税がかかります。売却や買い換えの年は申告の内容が複雑になるため、継続して相談できる顧問税理士がいると判断しやすくなります。

更新確認:2026年10月7日。参照した一次資料:国税庁 No.1211-1(住宅ローン控除) / 国税庁 No.3208(長期譲渡所得) / 国税庁 No.3302(3,000万円特別控除) / 国税庁 No.3305(軽減税率) / 国税庁 No.3370(買換え時の譲渡損失)。

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