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【2026年版】交際費と会議費の違い|飲食費1万円基準と記録の残し方

取引先との食事は交際費なのか、会議費なのか。「1人1万円以下なら会議費にできる」と聞いて、勘定科目だけで判断していませんか。
会計上の科目と、法人税でいう「交際費等」は同じものではありません。打ち合わせのための通常の飲食と、接待のための飲食を分けたうえで、交際費等から除外できる1万円基準を確認する必要があります。
この記事では、中小企業の経営者・経理担当者に向けて、会議費との違い、飲食費の計算、記録の残し方を整理します。最後に、個人事業主との違いも説明します。2026年9月30日時点の公表資料を確認しています。
この記事のポイント
・会議費かどうかは、会議の実態と支出の内容で判断する。1万円は会議費の一律の上限ではない
・一定の社外飲食費は、1人当たり1万円以下で必要な記録を保存すれば、法人税の交際費等から除外できる
・1万円を超えた飲食費は、超えた部分だけではなく全額が交際費等の判定対象になる
・社内だけの飲食や個人事業主には、この1万円基準をそのまま当てはめない
1. 交際費と会議費は、目的と実態で分ける
1.1 交際費は、事業関係者への接待や贈答などの費用
法人税でいう交際費等は、取引先など事業に関係する相手への接待、慰安、贈答などに使う費用です。取引先との懇親会や贈答品などが代表例です。
一方、会議に伴って通常必要となるお茶や弁当などは、交際費等から除かれます。打ち合わせ用に借りた会議室の料金も、接待ではなく会議のための支出として整理します。
| 支出の例 | 整理の考え方 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 会議室の借用、会議に通常必要なお茶・弁当 | 会議のための費用として整理 | 実際の会議か。飲食は通常必要な範囲か |
| 取引先との接待目的の会食 | 原則として交際費等。一定の飲食費は除外可能 | 1人1万円以下か、所定の記録を保存しているか |
| 取引先へのお歳暮・贈答品 | 原則として交際費等 | 飲食費1万円基準を一律に当てはめない |
| 従業員向けの通常の社内行事の飲食 | 福利厚生費になる場合がある | 行事の内容、対象者、通常必要な金額か |
| 業務と関係のない私的な飲食 | 事業の経費として扱わない | 法人では役員等への給与の取扱いも確認 |
1.2 会議費には「通常必要な範囲」という条件がある
国税庁の通達は、通常の会議の場所で提供される昼食程度の飲食について、会議に通常必要な費用として扱っています。来客との商談や打ち合わせも会議に含まれます。
「商談を少しした」というだけで、豪華な接待を会議費に変えることはできません。参加者、議題、場所、金額を合わせて、実際にどのような場だったかを確認します。
また、会議に通常必要な飲食費の取扱いは、1人当たり1万円を超えても適用される場合があります。「1万円以下なら会議費、超えたら交際費」という二択ではありません。
根拠:国税庁「租税特別措置法関係通達」61の4(1)-21
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
1.3 科目名を変えても、税務上の判断は変わらない
接待に使った費用を帳簿で「会議費」とした場合でも、内容が交際費等に当たれば、法人税では交際費等として扱います。
反対に、帳簿で「接待交際費」とした飲食費でも、次の1万円基準などの要件を満たせば、法人税の交際費等の金額から除外できます。
経理では、科目名に加えて「社外飲食・1万円以下」「社外飲食・1万円超」「社内飲食」「贈答」などを補助科目やメモで区分すると、申告時の集計に役立ちます。
2. 社外飲食費の「1人1万円以下」ルール
2.1 対象になるのは、要件を満たす飲食費
2024年4月1日以後に支出する一定の飲食費は、参加者1人当たり1万円以下であれば、必要な記録を保存することを条件に、法人税の交際費等から除外できます。2024年3月31日以前の基準は5,000円以下です。
これは接待飲食費にも使えるルールですが、次の点に注意します。
・会社の役員・従業員やその親族だけを接待する飲食費は対象外
・飲食費のルールなので、贈答品やゴルフ代などに一律に適用できない
・参加者や人数などの所定の事項を記録した書類を保存する
・そもそも事業上の支出であることが前提
例えば、取引先へのお歳暮として贈る食品の詰め合わせは、飲食費1万円基準の対象になるとは限りません。国税庁の通達でも、通常の中元・歳暮として飲食物を贈答する行為は、ここでいう飲食等に含めていません。
根拠:国税庁 No.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」、通達61の4(1)-15の2
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm

2.2 参加人数には、自社の参加者も含める
基本の計算は「その飲食費の総額 ÷ 実際の参加人数」です。取引先の人数だけでなく、同じ飲食に参加した自社の役員・従業員も含めて計算します。
取引先3人と自社2人の合計5人が参加し、判定対象となる飲食費が5万円なら、1人当たりは1万円です。金額以外の要件も満たせば、交際費等から除外できます。
参加していない人を加えたり、同じ会食の領収書を分けて金額を小さく見せたりすることはできません。また、複数の会社が会食代を分担した場合も、原則として会食全体の費用と人数で判定します。自社の負担額だけで判断しないようにしましょう。
根拠:国税庁「租税特別措置法関係通達」61の4(1)-23
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
2.3 1万円を超えたら「超過分だけ」ではない
判定対象の飲食費が5万5,000円、参加人数が5人なら、1人当たりは1万1,000円です。この場合、1万円を超えた5,000円だけを交際費等にするわけではありません。1万円基準による除外は使えず、5万5,000円全額が交際費等の判定対象になります。
ただし、全額が交際費等になることと、全額が税務上の経費にならないことは別です。中小法人の年800万円枠など、次の制度で損金に算入できる場合があります。
| 判定対象額・前提 | 人数 | 1人当たり | 1万円基準による扱い |
|---|---|---|---|
| 50,000円 | 5人 | 10,000円 | 要件を満たせば全額を交際費等から除外 |
| 55,000円 | 5人 | 11,000円 | 除外できず、55,000円全額が交際費等の判定対象 |
| 80,000円 | 8人 | 10,000円 | 要件を満たせば全額を交際費等から除外 |
| 税込55,000円/税抜経理・仮払消費税等5,000円 | 5人 | 税抜10,000円 | 要件を満たせば税抜50,000円を交際費等から除外 |
| 税込55,000円/税込経理 | 5人 | 税込11,000円 | 除外できず、税込55,000円全額が交際費等の判定対象 |

2.4 税込か税抜かは、会社の経理方式による
1万円の判定は、会社が採用する税込経理・税抜経理に合わせて行います。
例えば、登録済みの飲食店で、10%の消費税を含む5万5,000円の会食に5人が参加したとします。適格請求書を保存し、仕入税額を全額控除できる税抜経理法人が、仮払消費税等5,000円を区分する通常のケースなら、税抜5万円 ÷ 5人=1万円です。一方、税込経理なら、5万5,000円 ÷ 5人=1万1,000円となります。
「税込1万1,000円まではいつでも大丈夫」と覚えるのは避けましょう。免税事業者は税込経理であり、インボイスのない取引では税抜経理でも処理する消費税等の額に注意が必要です。店内飲食と持ち帰りで税率が異なる場合もあります。
インボイスや税込・税抜経理の基本は、関連記事「消費税の仕組み」もご覧ください。
【2026年版】消費税の仕組みを徹底解説|課税・非課税の区分、軽減税率、インボイス制度、2割特例から3割特例へ、確定申告まで税理士がわかりやすく
なお、飲食の都度、都合のよい経理方式を選ぶことはできません。
根拠:国税庁 No.5265、No.6905「税抜経理と税込経理の選択適用(法人の場合)」、No.6917「交際費等の損金不算入額を算出する場合における消費税等の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6905.htm
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6917.htm
3. 1万円を超える交際費も、中小法人では損金になる場合がある
3.1 年800万円枠と接待飲食費50%の、どちらかを選ぶ
一般的な中小法人は、交際費等について、次のいずれかを選択できます。
・交際費等を年800万円まで損金に算入する方法
・一定の社外接待飲食費の50%相当額を損金に算入する方法
両方の枠を足す制度ではありません。1万円基準などで交際費等から除かれる支出は、先に除外したうえで比べます。
50%方式も、飲食費であることを明らかにする所定の事項を帳簿書類へ記載する必要があります。1万円基準の保存要件とは異なるため、区別して確認します。社内で同じ精算メモを使う場合は、第4節の記録をまとめて残しておくと、両方の確認に役立ちます。
年800万円枠の金額は「800万円 × 事業年度の月数 ÷ 12」です。事業年度が6か月なら400万円となります。
対象は原則として期末の資本金・出資金が1億円以下である等の法人ですが、大法人の完全子法人や一定の通算法人などは除かれます。資本金だけで適用を決めないようにしてください。
制度の適用期限は、現行の国税庁資料では2027年3月31日までに開始する事業年度です。2027年4月以後に開始する事業年度への適用は、その時点の改正状況を確認する必要があります。
| 除外後の交際費等 | うち50%対象の社外飲食費 | 年800万円方式の損金算入額 | 50%方式の損金算入額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 200万円 | 300万円 | 100万円 |
| 900万円 | 600万円 | 800万円 | 300万円 |
| 2,000万円 | 1,800万円 | 800万円 | 900万円 |
損金とは、法人税を計算するときに所得から差し引ける費用です。損金算入額が増えても、支払った金額がそのまま税金から戻るわけではありません。支出の目的や資金繰りも踏まえて判断しましょう。
根拠:国税庁 No.5265、税務大学校「法人税法」交際費等の損金不算入、別表十五の手引
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kohon/houjin/pdf/all.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2025/pdf/r01-15.pdf
3.2 社内だけの飲食は、別に判断する
役員・従業員やその親族だけへの接待飲食費には、社外飲食の1万円基準や50%損金算入を使えません。
ただし、社内の飲食がすべて交際費等になるわけでもありません。実際の会議に伴う通常の弁当代や、一定の社内行事における通常の飲食など、会議費・福利厚生費として扱える支出もあります。
一部の役員だけの高額な飲食を「福利厚生費」にするなど、名目だけで処理しないことが大切です。私的な支出については、会社の費用ではなく役員等への給与としての取扱いが問題になることもあります。
根拠:国税庁 No.5261「交際費等と福利厚生費との区分」、通達61の4(1)-12
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/08/08_61_4a.htm
4. 領収書と一緒に、参加者・人数・目的を残す
4.1 1万円基準には、書類の保存要件がある
領収書に店名と金額だけが書かれていても、飲食費1万円基準に必要な情報がそろうとは限りません。次の事項を確認し、足りないものを精算書や会計ソフトのメモなどに補います。
| 残す事項 | 記載の例・実務上のポイント |
|---|---|
| 飲食した年月日 | 2026年9月30日 |
| 参加した相手の氏名・名称と事業上の関係 | A社の田中様・鈴木様(取引先) |
| 参加人数 | 相手2人、自社2人、合計4人 |
| 費用の額、飲食店の名称・所在地 | 領収書で確認。記載が足りなければ紐付けて補足 |
| 飲食費であることを示すその他の必要事項 | 次期契約の打ち合わせなど、支出の目的・内容 |

「営業部の会食」とだけ書くより、「A社の田中様・鈴木様、自社2名、計4名、次期契約の打ち合わせ」と残すほうが、相手との関係と支出の目的を後から確認しやすくなります。会議費として処理する場合も、議題や参加者を残す運用が役立ちます。
4.2 月次で確認すると、決算時の聞き直しが減る
飲食費を入力する際に、次の3点を確認するルールを作っておきましょう。
・誰との、何のための支出か
・会議に伴う通常の飲食か、接待か、社内行事か
・社外飲食の1万円基準を使うなら、計算と記録がそろっているか
人数や相手先は、数か月後にまとめて思い出すより、その場で記録するほうが確実です。経理担当者にレシートだけを渡すのではなく、参加者や目的も一緒に共有すると、処理がスムーズになります。
5. 個人事業主に「1万円」「年800万円」の法人ルールは適用しない
飲食費1万円基準や年800万円枠は、法人税の交際費等に関するルールです。個人事業主の所得税について、一律に「1人1万円まで」「交際費は年間800万円まで」と制限する制度ではありません。
個人事業主は、その支出が売上を得るため、または業務上必要な費用かどうかで判断します。取引先への必要な接待費は経費になり得ますが、家族との食事や友人との私的な飲み会は、事業との関係がなければ経費にはなりません。
法人の1万円基準と同じ保存要件が課されるという意味ではありませんが、相手、関係、人数、目的のメモは、事業上の支出であることを説明するために役立ちます。
根拠:国税庁 No.2210「必要経費の知識」、確定申告書等作成コーナー「接待交際費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
https://www.keisan.nta.go.jp/r7yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/settaikosaihi/settaikosaihi.html
6. よくある質問
6.1 お酒を飲んだら必ず交際費ですか?
お酒があるかどうかだけで、会議費か交際費等かは決まりません。会議の実態や通常必要な飲食の範囲を確認します。接待のための社外飲食でも、1万円基準と記録の要件を満たせば交際費等から除外できる場合があります。
6.2 1万円以下なら、領収書だけでよいですか?
必要な記録事項がそろっているかを確認します。領収書に参加者の氏名・名称、関係、人数などが書かれていない場合は、紐付けて補足した書類を保存します。
6.3 役員1人で食べた昼食を、会議費にできますか?
普段の個人的な昼食を、科目名だけで会議費にすることはできません。業務との関係、実際の会議の有無、食事補助等の別制度に該当するかなどを確認します。
6.4 年800万円枠があるなら、会食を増やすと得ですか?
必要な事業上の支出を損金にできる制度であって、支出額と同額の税金が減る制度ではありません。利益や手元資金が減ることも踏まえ、事業に必要な範囲で判断しましょう。
7. まとめ
飲食費の処理は、①事業との関係、②支出の目的と実態、③法人税の除外要件、④書類の保存の順に確認すると整理しやすくなります。
会議費の判定と、社外飲食費を交際費等から除外する1万円基準は別のルールです。金額だけで科目を決めず、参加者や目的を日々の記帳で残しておきましょう。
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